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摂食障害思考(エド)の呪いのことばから自由になる(2020.10.05更新)

摂食障害が寛解して妊娠した女性25例(神経性過食症21例、神経性やせ症4例)のうち、67%(16例:過食症の48%、拒食症の全例)が妊娠後最初の3か月以内に摂食障害の一時的な再発を経験したそうです。

拒食症(神経性やせ症)の患者さんは、再発を引き起こす可能性のある自分の体型を意識し続ける強迫傾向(ボディーイメージの不満)があったそうです。

また過食症の患者の約50%に産後うつの合併があり、患者の66%が出産後に過食症の症状を示したと報告されています。

妊娠や出産に伴い、一時的にしろ摂食障害が再発する(ぶり返す)ことから、ぶり返しの時の対処法をしっかりと身につけておく必要があるということですよね。

 

また、コロナウイルス感染症の蔓延による外出自粛などで、73%の人が「過食が増えた」、57%が「嘔吐や下剤の使用が増えた」と、日本摂食障害協会が行ったアンケートに回答しています。

妊娠や出産、あるいは外出自粛などの変化の時期だからこそ、摂食障害思考(エド)とどう向きあえばいいのかを身につけ、摂食障害を治療するチャンスと捉えることもできるということですよね。

 

ジェニーさんは、エドの束縛・呪縛から逃れて、一瞬の自由を垣間見た瞬間があったようです。

 

今でも、私の生活の中からエドが完全にいなくなったわけではありません。

でも今では私にくっついて、私のエネルギーや情熱を吸い取ってしまう寄生虫のような存在ではなくなりました。

ただ、お決まりのコメントをモソモソとつぶやいているだけで、それは、私の存在自体を脅かすものではなくなりました。それらのコメントの内容は、ジェニーとはまったく無縁のものとなったのです。

シェーファー、ルートレッジ『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』星和書店

 

こころの健康クリニックの副院長である風間先生も『与えられたもの』で書いていらっしゃるように、それまで自分自身と思いこんでいた摂食障害思考(エド)から健康な自分を切り離してみると、エドは数多くの考えの中のほんの1つにしか過ぎないことがわかります。

 

ところがジェニーさんも体験したように、身体が必要としている栄養を脳の中の摂食障害思考(エド)が全力で拒否してしまうのです。この状態をジェニーさんは「私のエネルギーや情熱を吸い取ってしまう寄生虫のような存在」と喩えていますよね。(『摂食障害からの回復の土台になる規則的な食事の確立』参照)

 

寄生虫のような摂食障害思考(エド)に支配された生活を、ジェニーさんは「寒い世界」と表現しています。

 

スーパーマーケットの冷凍食品売り場を歩いた際に、寒さで身体がつららになったような感じがしなかった瞬間でさえ、忘れられない大切な記憶です。

エドと手を取り合って生きていた頃は、周りの世界中がとても寒く感じられていました。

私は、身も心も凍えていたのです。

シェーファー、ルートレッジ『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』星和書店

 

摂食障害思考(エド)の呪縛による「寒い世界」から抜け出すために、まず、摂食障害思考(エド)と本来の健康な部分(本当の自分)を切り離すことが最初の課題になります。

 

そうは言っても、摂食障害思考(エド)に洗脳されている状態では、健康な部分を知ることはなかなか難しく感じられます。

健康な部分があることを知るために、つねに自分の身体の感覚や心の状態をモニターして、自由の瞬間を体験してみる必要があるのです。

 

嘔吐した後に便器の脇でぼろぼろになってうずくまる私に、もう一度立ち上がる力を与えてくれたものは何だったでしょう。

まるで十トントラックにでもひかれたような気分のときに、ベッドから起き出せるようにしてくれたものは何だったのでしょう。

窓のカーテンを開けて、暗いマンションの部屋に太陽の光を導き入れてくれたものは何だったでしょう。

私の希望をつないでくれたのは、何だったのでしょう。

私を回復への道からはずれないで進み続けられるようにしてくれたもの、それは、摂食障害から束の間でも解放されたときに味わうことのできた、自由の感覚でした。そこで垣間見たエドのいない人生の情景は、私にとってはキラキラと光る高価な宝石のようでした。

希望が絶えてしまいそうにったときには、その感覚を失わないように注意して、どうにか希望をつなぐことができたのでした。

シェーファー、ルートレッジ『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』星和書店

 

たとえ束の間の自由の感覚であっても、摂食障害思考(エド)の呪縛の中でもがき苦しんでいる状態とは比べものにならない平穏で「気持ちがいい」瞬間のようです。

風間副院長も『新しい習慣』で、ヨガと出会った中でその感覚を感じた体験を書いてくださっていますよね。

 

ジェニーさんは、摂食障害思考から解き放たれていることに気づいた瞬間、あるいは、近所の庭の花や、自分自身に対して、批判や評価)をせずにいられた体験を書いていますよね。

 

私が体験した自由の感覚とはどのようなものだったでしょう。

(中略)

また、ほんの五分間程度とはいえ、ふと気がつくと、食べ物のことも体重のこともすっかり忘れて心が解き放たれていたことがありました。(中略)ご近所さんの庭に咲いているきれいな花の色に気がついた瞬間、鏡に映った自分の姿を見て、いいなあと思えた瞬間、などがあるのです。

シェーファー、ルートレッジ『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』星和書店

 

このジェニーさんの体験の土台となるのが、『8つの秘訣』の「秘訣8 人生の意味と目的を見つける」です。

 

「人生の意味と目的を見つける」ことは、摂食障害の新しい対人関係療法の進め方では、取り組むべき課題として「ライフゴール(人生の目的)」、つまりどんな生き方をしたいかを明確にすること、として設定されています。

 

エドが出ていってくれた人生というのは、本当になんてすばらしいのでしょう。

もう、食べ物と体型のことだけに強迫的に時間を費やす必要はなくなりました。

私の人生で本当に大切にしたいものだけに注意を向けられるようになりました。

摂食障害から回復して安定してくると、一人の人間として、誰からも支配されずに自分の人生を歩めるようになります。

シェーファー、ルートレッジ『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』星和書店

 

摂食障害思考(エド)の支配から抜け出して、自分が本当に望んでいる生き方を生きる方向性を支えてくれるのは、風間先生が『摂食障害から回復した時の私の1日』に書いてくださったように、自分が信じる生き方を生きたいという思いです。

 

あまりにつらくてあきらめそうになったときに自分で記入したページを読み返してみると、私が手に入れようとして頑張っているものは夢ではなくて現実にあるのだ、と我に返るのでした。

(中略)

たった一分でも摂食障害から自由になれたのであれば、それは良い方向へ進んでいる証拠です。

はじめのうちはなかなかそういう出来事もないし、非常に稀でした。しかし今では、そうした瞬間がつながり合うようになりました。そして、それが私の人生そのものなのです。

シェーファー、ルートレッジ『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』星和書店

 

ジェニーさんもノートに記入したことをふり返りながら、何度も回復への決意を新たにされたようです。

 

皆さんも、風間先生やジェニーさんにならって、摂食障害思考(エド)との関係を変えていく一歩を踏み出していただきたいと願っています。

また摂食障害思考(エド)の呪いのことばから解放されるために、『セルフケアの道具箱』を参照してみることも役に立つと思いますよ。

 

院長

 

NHKハートネットTVで「“摂食障害”とつきあいながら きょうを生きる」の再放送があります。

2020年10月6日(火) 午後1時05分 〜 午後1時35分

また日本摂食障害協会の『摂食障害 理解と回復のために』を元に作られた記事が、NHKオンライン「ハートネット」ポータルサイトに公開されています。

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(1)摂食障害のある人に医療ができること

(2)摂食障害のある人に家族ができること

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