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適応障害/うつ状態、うつ病との違い

適応障害とは

「適応障害」は、はっきりと確認できるストレス因に反応して、3ヵ月以内にストレス反応を超える重大な苦痛、あるいは社会機能の低下、あるいはその両方があることと定義されています。
しかし一方で、適応障害が環境による心理的反応という単純な構図と理解され、診断に確信が持てないような場合、ひとまず反応性の症状として診断されやすいために、最も診断されやすい疾患の1つとされています。

「適応障害」は、臨床症状にもとづいて以下の6つのサブタイプに分けられています。

  1. 抑うつ気分を伴うもの
  2. 不安を伴うもの
  3. 不安と抑うつ気分の混合を伴うもの
  4. 素行の障害を伴うもの
  5. 情動と素行の障害の混合を伴うもの
  6. 特定不能

 

適応障害の4つの不調和

適応障害は環境要因と患者特性の相互作用の不調和によって引き起こされると考えられています。国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)では、環境要因だけでなく「適応障害」を引き起こしやすい患者の特性にも言及されました。その特徴は「ストレッサーに対する自己没入、過剰な不安、繰り返される苦悩、障害に対する反すう」とされています。つまり、あれこれと考えすぎて思い悩み、行動できなくなってしまった状態です。

 

  1. 周囲の環境(職場や学校、生活環境)に問題がある場合
     (頻回のライフイベント、劣悪な労働環境、イジメ、孤立、家庭内不和など)
  2. 本人に問題がある場合
     (仕事熱心、社会的スキル・コミュニケーション能力・問題解決能力の稚拙さ、低ストレス耐性、発達障害)
  3. 周囲の環境と本人の双方に問題がある場合
     (上記1と2の組合せ)
  4. 周囲の環境と本人の相性が悪い場合

 

適応障害の治療

適応障害は、その人の特性と環境との相互作用が上手くいかないことによるものであり、それを病気として治療しようとすると、抗うつ薬や気分安定薬の服用により、有害事象が出やすかったり、心的回復力(レジリエンス)を阻害して病態が遷延してしまうことが知られています。

必要なのは病気を治そうとするのではなく、その人の特性と環境がうまく調和するように、スキル・トレーニングや物事の捉え方の修正など、セルフヘルプをサポートしていくことが必要です。

 

たとえば、「適応障害」や職場への不適応は、ストレッサーに対する有害な反応ではなく、新たな適応へと向かう出発点とも捉えられます。

適応不全の経験から学び(セルフモニタリング)、新たな達成に向けて、自らを変えたり(セルフヘルプ)、環境に働きかけて環境を変えたりできる能力(対処スキル・問題解決能力)を身につけることができる、変化のための貴重な機会ともみなすことができるのです。復職支援(リワーク)プログラムによるトレーニングも役に立ちます。

 

本人の努力をサポートすることに加え、こころの健康クリニック芝大門では産業医でもある院長が職場や職場の産業医と連携し、本人の「働き続ける」を支えていきます。

 

院長ブログ・聴心記の『ストレスと適応障害』や『適応障害の診断と治療の実際』も参照してください。

 

うつ状態、うつ病と適応障害の違い

休職中の方やメンタルクリニックに通院中の方は、うつ病あるいはうつ状態、場合によっては適応障害などの診断を受けていらっしゃると思います。
しかし、病状や病態、あるいは、治療法について説明を受けたことがある人は、ほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。

 

うつ状態」は、きっかけがある場合も、ない場合もあります。
気分の落ち込みのほか、重苦しく暗い気持ちなど、通常の悲哀よりも強いもの、を「うつ状態」と呼びます。

 

「うつ状態」に加えて、決められない、判断力が落ちた、何をするにも億劫に感じるなど、思考や行動における意欲低下(思考抑制)と、食欲不振、入眠困難・熟眠障害・早朝覚醒などの睡眠障害を伴い、2週間以上、場合によっては数ヵ月持続するものを「うつ病」と診断します。「うつ病」ではうつ状態および思考抑制の精神症状と、身体症状が同時に見られるということです。 

生理的な原因によるうつ状態と、意気消沈あるいは消極性にともなう非生理的なうつ状態は区別する必要があると言われており、「うつ状態」であっても、必ずしも「うつ病」ではないことを理解しておく必要があります。

 

以前は神経症の一型であった「神経症性抑うつ」と呼ばれていた一群は、現在では、「気分変調症」「混合性不安抑うつ障害」「遷延性抑うつ反応」などに分類され、不安障害の一部と適応障害に相当します。

 

気分変調症」は、思春期に発症し軽快する早発型と、21歳以降に大うつ病エピソードで発症し慢性に経過する遅発群の2つが「中核群」と呼ばれています。

また愛着トラウマ関連の慢性うつ状態を呈する「不安型気分変調症」や、アンヘドニア(無快楽症)を呈する「無力型気分変調症」があり、後者は非生理的なうつ状態を呈する事が多く、抗うつ薬の効果がほとんど認められないのも特徴です。(詳細については『性格と間違われやすい気分変調症』をご覧ください)

 

混合性不安抑うつ障害」は、不安症状と抑うつ症状がともに見られますが、不安障害や気分障害の診断がくだせるほど重篤ではない場合に診断されます。

しかし、振戦、動悸、口渇、消化器症状などの自律神経系の身体症状とともに、睡眠障害や倦怠感、焦燥感を伴いやすく、自覚的な苦悩だけでなく、社会的・家庭的機能の障害も多く認められます。

他の医療機関でパニック障害とか、うつ病やうつ状態と診断されている人のほとんどが、この「混合性不安抑うつ障害」であることが多いようです。「混合性不安抑うつ障害」は、抗うつ薬や抗不安薬による治療だけで改善することは少なく、多くの患者さんが薬物療法は効果がなかったと感じていらっしゃいます。回復のためには、不安と抑うつの両方に焦点を当てた精神療法が必要不可欠です。

 

こころの健康クリニック芝大門では、対人関係療法による「気分変調症」の治療、メンタルヘルス外来での「混合性不安抑うつ障害」の治療に力を入れています。

 

遷延性抑うつ反応」は「適応障害」の1つのサプタイプで、通常のストレス性の生活上の出来事に曝露された後1ヶ月以内に、さまざまな症状が生じる病態で、6ヶ月以上続くものの、2年をこえないとされています。

この「遷延性抑うつ反応」は、「気分変調症」や慢性うつ状態などと誤って診断されていることがほとんどです。

 

適応障害」は、入学や就職、病気などの人生の節目に、うつ状態や不安状態を引き起こすもので、「無力型気分変調症」の増悪因子と重なる部分も多いようです。

環境や状況が変わればすみやかに軽減する「短期抑うつ反応」、「遷延性抑うつ反応」「混合性不安抑うつ反応」「主として他の情緒の障害を伴うもの」「主として行為の障害を伴うもの」「情緒および行為の障害を伴うもの」「他の特定の症状が優勢なもの」に分類されています。

ストレス因がなくなって半年経過するにもかかわらず、心因性・反応性の軽度の非生理的なうつ状態や不安状態に対して「適応障害」の診断名がつけられることが多く、過剰診断や誤診断がなされやすいことが知られています。

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