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うつ状態や適応障害と診断されたときに考えること(2020.06.03更新)

産業医をしていて例年ではこの時期になると、「適応障害、3ヵ月の休職が必要と診断する」と提出された休職診断書を目にする機会が増えます。

今年はコロナウイルス感染症の広がりによる緊急事態宣言の影響で、休職診断書が提出されることは減りました。

 

しかし、緊急事態宣言が解除されたものの東京アラートが発令されたことで、慣れない在宅勤務やテレワークが続くことや、在宅勤務やテレワークから出社するようになると、睡眠リズムの乱れ、漠然とした不安、やる気の出なさなどで、調子を崩される方もいらっしゃるようです。

 

他のメンタルクリニックからこころの健康クリニック芝大門の職場復帰支援プログラム(リワーク)を紹介された患者さんの診療情報提供書にも、適応障害あるいはうつ状態やうつ病の診断名で、数種類の抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬が処方されていることがほとんどです。

 

職場のストレスと休職する前に考えること』で、「事例性(環境の負荷)」と「疾病性(精神面の脆弱性)」を説明しました。

休職となった社員さんや、こころの健康クリニック芝大門のリワーク外来を受診された方に聞くと、ほとんどの場合、精神科医が判で押したような対応しかしていないことが見えてきます。

 

4月に異動になった、あるいは、就職した、などの環境の変化があり、早く慣れようと頑張っていたけれども、ゴールデンウイークが終わった頃から身体がだるく元気もなくなってきた。

近所のメンタルクリニックを受診したら、10分程度の診察で「うつ状態を伴う適応障害」と言われ、抗うつ薬を処⽅されて休職の診断書をもらった、とほとんどの方が話されます。

いわゆる五月病とか六月病と呼ばれている、適応不全の状態ですね。

 

そして、初診時あるいは治療初期に休職を指示されることと、抗うつ薬や抗不安薬による過鎮静によって、生活リズムが乱れ、さらに過剰投薬の影響で、さらなる体調不良に陥る可能性も高くなります。

とくに、若い世代の抑うつ状態は、抗うつ薬への反応が不良で薬物療法のみでは慢性化しやすいことが知られているのにもかかわらず!です。

 

実際、6ヶ月以上持続しないとされる適応障害の診断で、1年以上、場合によっては2年近く休職を続けている方もいらっしゃるのです。

また長期間、職場を離れて休職することで、職場復帰するときのハードルがすごく高くなり、休職前のパフォーマンスを取り戻すための時間が長くなってしまいます。

 

早期に精神科医にかかるとかえって休職者が増え、休職期間が⻑引く」との意見もあります。

初診の10分程度の診察で、適応障害のうつ状態だから抗うつ薬を飲んで休養を取りましょう、休職しましょう、と言うのは、診断としても治療としても不適切というか、その人の人生に関わるという覚悟を欠如した、無責任の謗りは免れないと考えています。

 

こころの健康クリニック芝大門のメンタルヘルス外来や、リワーク外来では、環境の変化のどの要素(仕事の量や質、あるいは、誰とのどのような人間関係の変化)が負担になったのか、環境の変化によってどのような心身の不調が出ているのかを、1時間かけて詳細に聞いていきますよね。

 

本来の適応障害とは、「疾病性(精神面の脆弱性)」よりも「事例性(環境の負荷)」が大きいと考えられる状態のことですから、治療でまず必要なことは、休職ではなく職場環境の調整なのです。

 

そのために、職場の産業医の先生や保健スタッフと連携して、その人が適応不全を起こさずに働きやすくなるためには、職場環境をどのように調整してもらうか、を考えていきます。

こころの健康クリニック芝大門で、産業医宛の情報提供書で職場環境の調整をお願いされた経験がある方も多いですよね。

 

さらに職場環境の変化とその人本来の脆弱性の関連性を検討し、場合によっては休職して、本人のコーピング・スキルを立て直すことを考える場合も、当然あります。

 

この時に、適応障害とか抑うつ状態という診断名を目安に治療方針を考えるわけではありません。

つまり、うつ病だから認知行動療法、対人関係療法とか、適応障害だから対人関係カウンセリング、という考え方はしないのです。

 

こころの健康クリニックでは「元々どんな人だったのか(自閉症スペクトラムの要素や不安傾向など)」について、クロニンジャーの気質性格検査を用いて検査をしています。

「新奇性追求」や「損害回避」などの気質、「固執(こだわり)」の強さ、性格の「自己志向(自己の次元の成長)」と「協調性(関係性の次元の成長)」のバランスをアセスメントしたうえで、その人に合った⽅法と、その人が元気に働き続けるためには何が必要なのか?を一緒に検討していくのです。

 

院長

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