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摂食障害とパーソナリティタイプ別の取り組み方

[2014.01.14]

摂食障害の人のパーソナリティタイプには

完璧主義型:強迫性パーソナリティ
感情抑制型:回避性パーソナリティ
感情不耐型:情緒不安定性パーソナリティ

が知られています。

摂食障害でも典型例(中核群)が減り、辺縁群が増えているのと同様に、感情抑制型と感情不耐型が多くなっています。

 

そもそもパーソナリティは、『愛着スタイルと社会適応』や『愛着スタイルと気質・性質』で触れたように、「気質」を基盤に環境との関わりで形成された「性質」によって成り立つとされています。

 

摂食障害では、上記の「完璧主義型」が45%ともっとも多く、この人たちは頑固ですが高機能であり、対人関係療法だけでなくさまざまな治療に対する反応も良好で、自分なりのやり方を作ることが出来てくるとだんだん安定してきて良くなることが多いようです。

しかし、気分変調性障害(慢性うつ病)が先行し、「性格の問題」を何とかしようとした結果、摂食障害が発症してくることも多いパターンです。

その場合でも対人関係療法はかなり有効で、摂食障害の症状はわりと消失しやすく、気分変調性障害(慢性うつ病)にじっくり取り組むことになります。

 

「感情抑制型」は35%程度と言われており、「軽症感情病性気分変調症」「無力型気分変調症」や全般性不安障害などとオーバーラップすることも多く、アレキシサイミア(感情言語化困難症)の傾向を認めます。

「感情抑制型」は出来事と感情に焦点をあてる対人関係療法は適合しないことが多いのですが、認知行動療法・拡大版のように「やせ願望の緩和(低体重を他の評価より優先してしまうことのストップ」と「一定の食事(体重増加防止行動をストップ)」などの対処を行いつつ、治療の中、および実際の生活の中で、バリデーション(尊敬と共感を持った関わり)を体験しながら少しずつ良くなっていくことが多いようです。

 

「感情不耐型」「性格スペクトラム障害」「不安型気分変調症」の「基盤(diathesis)」となるような体験があることが多く、中には幼少期に反応性愛着障害・脱抑制型(脱抑制性社交障害)の診断基準を満たしたらしいと考えられる人もいますし、このタイプは最近かなり増えてきています。

多くは葛藤耐性の低さや対人過敏性、衝動性などから非定型うつ病や境界性パーソナリティ障害と診断(誤診?)されていることがほとんどです。

この「感情不耐型」は、このブログや「如実知自心」でもたびたび触れているように、アタッチメント(愛着)が発症と予後に関与しているため、対人関係療法によって、安全基地(居場所)や人とのつながり、ホッとする時間など症状以外の部分を「心のアクセル(行動力)」を使って広げていき、自分が人生の主人公だという主体性を取り戻していくという取り組みがメインになりますよね。

 

院長

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