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摂食障害からの回復の段階と再発防止

[2016.10.03]

摂食障害から回復するための8つの秘訣』の著者であり、自身も摂食障害からの回復者であるキャロリン・コスティンさんは、モンテニードにいらっしゃる患者さん、ご家族へのメッセージで

私自身摂食障害から回復しました。
摂食障害であるということを認め、そして、その克服をしていくことは、本当につらく、大変で、勇気のいることでした。特に治療を受けようとあなたが決められたことは、すばらしい最初のステップだと思います。ただ単に治療を受けるといっても、それほど簡単なことではないでしょう。
(中略)
その人それぞれにあった治療がとても大切であり、その個別性が、各個人の成長を促し、長期的な回復へとつながると信じているからです。

と述べていらっしゃいます。

摂食障害からの回復に向けた治療は、回復したい動機づけと治療を受けるハードルを越えることが最初の課題になりますよね。

 

8つの秘訣』の「摂食障害から回復する10の段階」(P.18)のうち

4. 変わりたいけど、どうしていいのかわからないし、怖い。
5. 変わろうとしたけど、私にはできなかった。

「行動変容を動機づける5段階」の「準備期」から「実行期」に移行する段階で、治療を開始する方がすごく多いですよね。

「自分自身に大切な質問をしてみる」で

実際に行動できない、あるいは、回復に向けて進んでいけない理由、障害となっているものは何でしょうか。
どうしたら、その障害を克服できるでしょうか。

という「自己内対話」が必要になります。

 

対人関係療法での摂食障害の治療のすすめ方は『グループ対人関係療法』でウィルフリィが示しているように

○ 自分との関係を改善する(感情・考え・情動のコントロールについての気づき)
○ 行動の仕方を改善する:衝動の波に乗る(心の状態の変化についての気づき)
○ 他人との関係を改善する(自己概念あるいは関係のなかにおける役割についての気づき)

の3つのプロセスを通しての「気づき」がとても重要で、この対人関係療法による治療プロセスのなかで「摂食障害行動を使って、日常のほかの問題に対処したり、問題を避けたりする必要はなくなる」こと、

起こり得る問題や自分の中のどうしようもない感情に対して対処方法がわかっていて、摂食障害行動を使わないでいられること

が摂食障害から回復するために身につけていくスキルということになりますよね。

 

「摂食障害から回復していく5つの心理的段階」があります。

(1)その人それぞれにとって、摂食障害には役割がある。
(2)自分の気持ちをよく振り返り、言葉にしてみる。
(3)慣れ親しんだ考え方や考え方のパターンに気づいていく。
(4)摂食障害に助けを求める代わりに「自分の中の健康な部分」、「信用できる人」、「理解してくれる人」に助けを求められるようになる。
(5)ありのままの自分、ありのままの体型や外観を受け入れることができるようになっていく。

この(5)段階目まで治療でサポートできれば、再発の危険は減るといわれています。

 

摂食障害は治らないと考えていらっしゃる人がほとんどでしょうから、再発のリスクを減らすということを聞いて驚かれた方も多いかもしれません。
でもよくみてみると「摂食障害から回復する10の段階」(P.19)のうち「8.行動からも思考からも解放されているときが多いが、常にというわけではない。」

➢ストレスがたまると、思考や行動が戻ってくる。
➢水着を着たのをきっかけに症状がもどってきた。
➢ダイエット特集などが気になる。
➢健康のために健康的な食事や運動をしたいと思う。

の段階を越えることが摂食障害から完全に回復すると同時に、再発も防ぐプロセスであることがわかりますよね。

そのために、

その人それぞれにあった治療がとても大切であり、その個別性が、各個人の成長を促し、長期的な回復へとつながる。

ということなのです。

ですから型どおりの治療を行うことが重要なのではなく、「摂食障害から回復していく5つの心理的段階」のどこに重点を置いて治療していくかということが大切で、それが鑑別治療学という個別性の重視なのですよね。

院長

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