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摂食障害外来の全体像について

摂食症/摂食障害は、主に精神的な理由から食事摂取を減らしてしまったり、明らかな低体重(やせ)であるのにそう認識できなくなったり、食欲がコントロールできずに明らかに通常量より多く食べしまったり、やせるために自分で嘔吐、下剤を多量に使ってしまう疾患です。

 

摂食障害と向き合い、心身をトータルサポートするために当院では

・摂食障害そのものに対する心理療法(基本はガイデットセルフヘルプ、またはより集中的に治療する認知行動療法CBT-E)

・摂食障害による内科的な問題に対する対症療法(主に便秘症、電解質異常、栄養欠乏に対する治療)

・摂食障害に合併している精神疾患の治療(主に薬剤治療)

という視点で治療をしていきます。

 

<摂食障害に関する心理療法>

・疾患教育と環境調整/ガイデッドセルフヘルプ

短時間の外来の中で行います。

専門家として道案内をしながら、御本人が摂食障害を治すための工夫を実行することをサポートします。

日本の保険医療制度の中ではこれがスタンダードと言えると思います。

具体的には治療のペースメーカーとなったり、相談、質問にお答えするという形になります。

 

・認知行動療法(摂食障害に対する認知行動療法 CBT-E)

平均して週1回、集中的に行うプログラムに沿った治療法です。特に神経性過食症に良い適応となります。

もともとの方法では、1回50分程度、20回が基本なのですが、残念ながら保険適応で認められているのは30分が16回となっており、

そのプログラムでは修了は難しいです。

当院では、1回30分、20回を目安に、必要に応じて数回のセッションを追加する形で行います。

 

治療のおおまかな流れとしましては、

①規則正しい食生活(レギュラーイーティング)と体重調節行動の修正をすすめます。

②摂食障害が持続してしまう理由を、図式に表して(フォーミュレーション)理解してもらいます。

③患者様毎にどのような順番で取り組むかを決め、宿題という形で食行動を変えてみて(例えば鏡を見る回数を減らす、食べないことにしているものを計画的に食べてみるなど)、その結果どうなったかを一緒に話し合います。

*対人関係療法につきましては田町三田こころみクリニックの生野先生の摂食障害外来を受診してください。なお、途中から相互に切り替えることも可能です。

 

<摂食障害に関する内科的治療>

胃腸の症状については、嘔吐に伴う逆流性食道炎、便秘症に対する薬剤治療を行います。市販の下剤乱用をしてしまっている方に関しては将来の腸の機能を守るため、刺激性の市販下剤の量を減らし、他の下剤に置き換えていきます。

採血結果によってはカリウム、リンという電解質のバランスを改善する治療を行います。

ビタミンB1、鉄、亜鉛の不足が証明された場合については、その補充が身体的だけではなく、精神的にも有効ですので処方をします。

 

<関連する精神疾患の治療> 

摂食障害のみの診断となる方は珍しく、他の精神疾患を合併することが実際には多いです。

特に不安症、うつ病、注意欠如多動症(ADHD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などは、その治療を先に行った方が良い場合が多いと考えます。

合併する精神疾患については必要に応じて標準的な薬物療法を行います。

しかし、栄養をしっかり取ることや、体型へのとらわれを改善することで、うつ症状が治ったり、不安症状、注意力低下が良くなることもあります。

何を優先して治療していくかという戦略は、オーダーメイドになる部分です。

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