自閉スペクトラム症(ASD)と摂食障害
自閉スペクトラム症
これらの要素がオーバーラップすることも多く、発達障害は多様で、個人差がとても大きいです。
従来、アスペルガー症候群といわれていた病気は、広汎性発達障害(自閉症スペクトラム障害)に含まれています。
これまでは、自閉症とアスペルガー症候群をわけて考えてきましたが、その本質は大きく変わらず、症状の強さや程度の違いと考えられています。
原因
発達障害の原因は、今のところ解明されていなく、遺伝や環境などの様々な要因が複雑に絡み合っていると考えられています。
しかしながら、「何らかの脳の機能的な異常がある」ということは考えられています。
その結果として、なんらかの特性が強まります。
そういった特性は置かれている状況に適応することの困難さにつながり、生活上での支障や苦しみとなってしまいます。
ですから発達障害は、病気というわけではありません。
症状
ここでは広汎性発達障害(自閉症スペクトラム障害)を中心にご説明していきます。
その中心となる症状は大きく2つになります。
- コミュニケーションの質的な障害とそれによる社会性低下
- こだわりの強さからくる社会適応の困難さ
コミュニケーションの質的な障害
「空気を読む」「人の気持ちや感情を察する」など行間を読むことや、表情や声音、ボディランゲージなど、言葉に現れないコミュニケーションが苦手です。
私たちは他人の行動を見て、無意識に相手の状況を想像します。
そういった想像力が乏しいために、明確な言語以外のコミュニケーションしか伝わりません。
こうしたコミュニケーションのズレが、対人関係を中心に困難さにつながります。
そして本人は何がズレているのか理解することも苦手で、社会性が身につかず、常識的なふるまいができなくなりがちです。
こだわりの強さ
せまい範囲の物事に対し、強い興味を示す傾向があります。
興味があることやパターン化されたことには強いのですが、柔軟さや臨機応変さを求められると困難で、こだわりの強さが社会適応を難しくさせてしまいます。
その一方で、うまく適応できることであれば、周囲の人を驚かせるほどのパフォーマンスを発揮することもあります。
ですが社会生活では、バランスが求められることが多く、苦しまれている方が多いです。
その他
発達障害の方に特徴的な症状として、感覚に対する極端さがあげられます。
様々な感覚に対して極端に敏感なことが多く、ささいな物音が気になってしまったり、空調のちょっとした変化に気になったり、服の肌触りなどが気になったりと様々です。
その一方で、感覚の刺激に通常よりも鈍感な方もいます。
治療
発達障害は、病気というわけではありません。
生まれつきの特性ですので、その特性自体を治療することは困難です。
お薬は、うまく社会適応できないが故のストレスからくる二次的な障害に対して使われることが多いです。
ですから症状に合わせて、対症的にお薬を考えていくことが多いです。
合併症の治療と特性の理解が大切
しかしながら、うつや睡眠障害、強迫性障害などが合併してしまうこともありますので、こうした場合は状態を回復するために、それぞれの病気も踏まえてお薬の治療を行います。
とくに発達障害のお子さんをお持ちの親は、何とか発達特性を改善したいと思われている方が少なくありません。