自律神経失調症
自律神経失調症とは?
自律神経失調症とは、自律神経のバランスが乱れてしまったことによる症状が目立っていることを意味します。
どのような病気でもストレスによって自律神経症状が認められることがあり、「病気」というよりは「状態」になります。
自律神経とは、私たちが普段から意識することなく、ひとりでに身体の調節をしてくれている神経になります。
交感神経と副交感神経の2つにわけることができ、状況の変化に応じてバランスをとっています。
ストレスやホルモンの乱れなどによってバランスが崩れてしまうと、自律神経失調症として不快な症状があらわれます。
ですから自律神経失調症の症状が目立つ場合は、その本質的な原因を考えていく必要があります。
原因
自律神経失調症の原因としては、
- ホルモンの乱れ(甲状腺・女性ホルモン)
- 生活習慣の乱れ
- ストレス
の3つがあげられます。
甲状腺ホルモンや女性ホルモンは自律神経への影響が多く、それぞれの乱れがないかを確認する必要があります。
いずれも採血をすれば数値がわかり、甲状腺疾患や婦人科疾患、更年期などの生理的変化などを確認していきます。
こうした身体的な原因がない場合は、生活習慣の乱れやストレスが関係している可能性が高いです。
日中は交感神経優位に、夜間は副交感神経優位に、自律神経は生活リズムに従ってバランスをとっています。
生活リズムが乱れてしまうと、当然にリズムも乱れてしまいます。
ホルモンが正常であればストレスを疑う
また公私の様々なストレスが、自律神経に影響を及ぼします。
その背景には、もっと本質的な心の病気が隠れていることもあります。
またストレスに対する反応として、自律神経症状に現れてしまっていることもあります。
アレキシサイミアといって、自身の感情に気づくのが苦手だったり、その感情を出すことが苦手な性格傾向の方に多いといわれています。
症状
自律神経の症状は多岐にわたります。
自律神経は全身の器官に張り巡らされており、そのバランスの崩れによる症状は様々です。
体質によっても目立つ自律神経症状も変わり、吐き気や下痢といった胃腸症状が目立つこともあれば、頭痛やめまいなどの症状が目立つこともあります。
このような身体の症状だけでなく、免疫系や内分泌系にも影響して、微熱や月経不順などにつながることもあります。
このように様々な症状が認められます。複数の症状が出てくることも多く、身体のお薬などを使っても効果が不十分であることが少なくありません。
治療
自律神経失調症の治療を行っていくにあたっては、
- 自律神経症状を和らげる
- 本質的な原因にアプローチしていく
の2つが必要になります。
症状がひどいときは本質的な原因にアプローチすることも難しく、まずは自律神経症状を和らげることから始めていきます。
そのための方法としては、
- 薬物療法:お薬によって症状を和らげる
- 環境調整:ストレスの原因となっている環境を見直す
があります。状況はひとそれぞれですので、この2つのバランスを考えていきます。
お薬による治療
お薬としては、心と体の両面からアプローチしていきます。
- こころの薬:ストレスを和らげる
- からだの薬:身体症状を和らげる
自律神経失調症では交感神経優位となって過緊張状態となっていることが多いため、リラックスさせる働きのあるお薬を使うことで症状の改善が期待できます。
また直接的に体の機能を調節するお薬で症状が和らぐと、余裕を持てるようになります。
本質的な治療
このように自律神経失調症の症状そのものを和らげるために、お薬は補助的につかっていきます。
本質的な原因がある場合には、そちらを意識したアプローチをしていく必要があります。
原因はけっしてひとつではなく、本人要因と環境要因が重なっていることが多いです。本人の要因はすぐにはわかりませんが、
- 発達のかたより
- パーソナリティ
- 何らかの心の病気
などが少しずつ把握できるようになります。
総合的に判断しながら、必要なお薬の治療を行っていきます。あわせて精神療法をおこなっていきます。
自律神経失調症でお困りの方へ
こちらの記事では、自律神経失調症の症状や原因、治療についてご紹介してきました。
自律神経失調症は、さまざまな原因によって引き起こされます。
その原因を探りながら、総合的に治療を進めていくことが大切です。
自律神経失調症で悩まれている方は、ISTこころみクリニック大門浜松町にご相談ください。
さらに自律神経失調症についてさらに詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。
執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了