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トラウマ関連障害

いわゆる愛着障害と複雑性PTSD

「トラウマ関連障害」には、「反応性アタッチメント障害」「脱抑制型対人交流障害」などの愛着障害と、「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」「複雑性PTSD」などが含まれます。

 

従来は「反応性愛着障害(抑制型/脱抑制型)」とされていた「反応性アタッチメント障害」「脱抑制型対人交流障害」は、戦争孤児や虐待、ネグレクトなど乳幼児期の「病的な/不十分な養育」によってアッタチメントの形成が阻害され、特定のアタッチメント対象を持たないと理解されています。

しかし近年では、関係性の中での期待外れと傷つきに対して、広い意味で「愛着障害」と呼ばれることが増えていますが、正確には「愛着の障害」と呼んだ方がよさそうです。

つまり、アタッチメント機能が仮死状態にあるのが「愛着障害」であり、アタッチメント機能が混乱し組織化していない状態は「愛着の障害」と考えた方がよさそうです。

 

長期にわたって反復される虐待やネグレクト、養育者や他の大人からの性被害など、幼少期の逆境体験(II型トラウマ)により発達課題を達成できなかった状態は、「発達性トラウマ障害」「愛着トラウマ」などと呼ばれていました。

ハーマンは長期反復性トラウマを契機に特徴的症状を呈する症候群を複雑性PTSDと名づけ、以下の特徴を挙げていました。

  • 感情制御変化(持続的不機嫌、自傷、爆発的憤怒など)
  • 意識変化(解離エピソード、再体験症状など)
  • 自己感覚変化(孤立無援感、罪業感、汚辱感、孤在感など)
  • 加害者への感覚の変化(加害者との関係の没頭など)
  • 他者との関係の変化(引きこもり、反復的救済者探究、持続的不信など)
  • 意味体系の変化(希望喪失と絶望の感覚など)

 

「破局的体験後の持続性パーソナリティ変化」として、あるいは「他の特定不能の極度ストレス障害(DESNOS)」として検討されていた長期反復性トラウマ後の状態は、ICD-11では「複雑性PTSD」として新たに盛り込まれました。

複雑性PTSD」は、「持続性の、逃げるのが困難なストレス体験(例:虐待、拷問)」の後に、「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」の中核症状に加えて、感情・認知・対人関係の問題など特徴的な症状を伴う状態像を指します。

 

複雑性PTSD」では、再体験(フラッシュバック)、過覚醒、回避麻痺症状など3つのPTSD症状に加え、「自己組織化の障害(DSO)」と呼ばれる感情制御の困難、否定的な自己概念、対人関係の困難の3つの症状群が含まれ、症状の集合体(PTSD+自己組織化の障害)と考えられています。

 

 

トラウマ関連障害(外傷的育ちスペクトラム)

 

「複雑性PTSD」や「いわゆる愛着障害」ではないか?、あるいは「アダルトチルドレン」かもしれない、と治療を希望として受診する人の多くは、再体験症状、回避麻痺症状、覚醒亢進症状といった典型的なPTSD症状が主訴になることはほとんどありません。

 

受診されるケースの多くは、身体化症状、あるいは、情動調整の問題(特に怒り)、自己非難や自己否定感、孤立無縁感、対人関係構築の困難さなど、「自己組織化の障害」に悩み、中には「気分変調症」ではないか?と自己判断されている方もいらっしゃいます。

 

トラウマと自閉スペクトラム症との関係

小児期にトラウマに曝露された場合、注意欠陥多動性障害(ADHD)に似た衝動性や、感情調整の問題など自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群や発達障害)に似た症状を呈しやすくなることも良く知られています。

また、自閉症スペクトラムの人は、生物学的要因から幼少期から養育者や他者との愛着関係形成に困難を抱えやすく、対人関係の構築困難や対人関係上の傷つき体験によって、症状が遷延化したり複雑化することが少なくないことも知られています。

さらに経過の中で、変化への適応不全によって社会的に孤立したり、新たな傷つき体験を積み重ねてしまう頻度も高くなります。

 

ストレス関連障害とくに対人トラウマに対する治療

トラウマやストレス因に曝露された場合、反応性に引き起こされる症状は他者との健康な愛着関係が存在する場合に予後良好になることが知られています。
そのため、ストレス関連障害やトラウマ関連障害の治療では、(1) 発達特性、(2) トラウマの強度と持続、(3) アタッチメント関係、の3つの方向から理解し、治療していくことが求められます。

 

発達特性に関しては、自閉スペクトラム症の要素の程度、学童期・思春期・前成人期の発達課題の達成度合いをアセスメントします。トラウマの強度と持続に関しては、症状との関連や増悪因子を治療者と一緒に検討していきます。

 

「対人関係療法外来」「メンタルヘルス外来」での治療は、治療同盟というアタッチメント関係を築くことから始めます。アタッチメント関係の中で、「関係性(協調性)」という安心基地は「自己志向」を支え、健全な「関係性(協調性)」を維持するには「自己志向」を高めることの重要性を体感的に理解し、「安全基地(安心基地)」を内在化していくプロセスを通して、「獲得安定型の愛着スタイル」を築いていくことが治療テーマになります。

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