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性格と間違われやすい気分変調症

「気分変調性症」は、かつては「神経症性抑うつ」「抑うつ神経症」あるいは「抑うつ性人格」などと呼ばれていました。

神経症とは「無意識の葛藤が不安や恐怖を引き起こし、それを防衛する心理メカニズムが各症状を生じさせるもの」とされています。簡単に言うと、無意識の葛藤も防衛メカニズムもどちらも症状に関与しているという、いわばにっちもさっちもいかなくて、膠着した状態です。

 

気分変調症の考え方の特徴

気分変調症では、対人的認知に関わる思考が「客観的根拠のない直線的思考」であることが指摘されています。たとえば、ある出来事から読唇術的に他人の思惑を勝手に読み取り、「自分はダメだ」というような、客観的視点からかけ離れた破滅的な結論を導き出す傾向にあるといわれています。

「自分はダメだ」という「すりガラス」を通して世界を見るため、「頭の中で考えたこと=現実」という理解からなかなか抜け出せないだけでなく、出来事の全体を観ることが苦手で、白か黒かの「二分的思考」あるいは「べき思考」に囚われてしまっている状態です。

 

気分変調症と似て見える他の疾患

一般に、気分変調症という病気の治療を希望して医療機関を受診する方はほとんどいません。逆説的ですが、気分変調症かもしれないとすんなり受け入れることができて治療を求める方は、気分変調症ではない可能性が高いと言うことです。

wmn0015-009気分変調症は、慢性のうつ状態を呈する他の疾患、とくに「慢性の精神病性障害(統合失調症や妄想性障害など)」と慎重に鑑別する必要があるといわれています。

また、気分変調症と同じようにある程度うまく適応しているように見えるけれど、薬物療法の効果が期待できない「パーソナリティ障害(回避性、依存性、過敏型自己愛性)」も鑑別にあげられます。

さらに、他の医療機関で気分変調症と誤診されている人の多くは、社会適応に問題があって慢性のうつ状態のように見えるを「スキゾイド・パーソナリティ」や「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群や発達障害)」の場合がかなり多い印象があります。
対人恐怖や対人過敏、あるいは関係念慮によって家から出られなくなり、活動量が減ることによる無気力を慢性の抑うつ状態とかもしれないと思い至り、生きづらさの正体がわかったつもりになって安心し、自ら進んで治療を求められることが多いのです。

 

気分変調症の経過

気分変調症は罹病期間が長いものの、病状が変動しやすいことも知られています。12ヶ月で気分変調症のままであったのは24%にしかすぎず、また驚くべきことに39%と高率に寛解が認められます。

さらに、気分変調症の経過を見ていくと、気分変調症のままで経過するケースは少なく、多くはパニック障害や全般性不安障害など、「不安障害」に移行しやすいことが特徴です。

もともと「不安」と「抑うつ」が織り混ざった「神経症」が、不安障害と気分変調症に分離されたのですから不安障害の合併率が高いことは納得できるところです。

 

気分変調症の治療

薬物療法で48%、マカロウらが提唱している「認知行動分析システム精神療法」のみでも48%に「満足のいく反応」以上の効果が上がり、併用の場合では73%に効果があったとされています。

「対人関係療法」では、認知行動療法のように「考え」の内容を変えるのではなく、コミュニケーションなどの行動を通して、「考え」との付き合い方や関係を変えることに主眼をおいた治療を進めていきます。

対人関係を含む外的な出来事をどう解釈してどんな気持ちになったのか、本当はどうなって欲しかったのか、を明確にして、期待する結果を得るためにはどのような行動(コミュニケーションの仕方を含む)を取ればいいか、を治療者と一緒に作戦をたてながら、試行錯誤していきます。

「対人関係療法」によって、「すりガラス」に気づき(自己志向を高め)ながら、健全な「対人学習」(協調性)を培ってていくことで、本人にとっても重荷を軽くすると同時に、周囲の人たちにとっても、どんな結果が期待できて、自分たちはそのためにどんな役割を果たせるのか、ということを明確にしていくことができるのです。

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