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1人じゃなかった

[2020.12.11]

先日、大学時代に精神科の講義をしてくださった先生が私のブログを読んでくださったことを知り、その頃のことをいろいろと思い出しました。

とても苦しいと感じていた学生時代でしたが、今思い返せばたくさんの人たちに支えられていました。

 

例えば大学時代、学校に居場所もなく勉強にもついていけなかった私に、研究室で勉強していいと言ってくれた教授や先生がいらっしゃいました。勉強だけでなくいろいろな相談にものっていただき、本当に救われた気持ちがしました。けれども私が休学することになり、応援してくれていた先生に対する申し訳なさから、復学後は顔を合わせることを自ら避けてしまいました。

 

また、学生相談室の心理士さんにも本当にお世話になりました。いつも私の味方でいてくれ、話を聴いてくださいました。先生の前ではいつも泣いてばかりいたような気がします。ここも私にとってはとても安心できる居場所の一つでした。

学生課の方にも本当にお世話になりました。毎日とても忙しかったはずですが、自分の仕事を中断して、いつも長い時間話を聴いてくださいました。復学するときは、新しい学年になじめるよう新学期が始まる前に友人を紹介してくれたこともありました。

 

ある担任の先生は、休みがちな私に本を貸してくださったり、冬休みに実家に帰らずにいる私を箱根駅伝の観戦に誘ってくださったこともありました。

国家試験の特別クラスを受け持ってくださった先生は、試験当日の朝、会場の入り口まで来てくださいました。不安でいっぱいだった私は、先生の姿を見てとても安心しました。1日目、2日目の試験後にもメールで励ましていただき、何とか無事に3日間の日程を終えることができました。先生のメッセージが書かれた分厚い参考書は私の宝物です。

 

学校の外でも、いろいろな人に支えられていました。洋服屋さんの店長さんには、本業であるファッションのアドバイスだけでなく恋愛や人間関係の悩みをいつも聞いてもらっていました。この方との出会いは今でも忘れられません。

バス通りにあるそのお店は、外から見るだけでもとっても素敵で、何か楽しいことがたくさん詰まっていそうな雰囲気でした。私はいつもそのお店をバスの窓から眺めていて、いつか行ってみたいなとずっと思っていました。

ある日勇気を出してお店のドアを開けた時、最初に声をかけてくれたのがこの店長さんでした。私の好みや持っている洋服などを聞いたうえで、「今このお店にはあなたの好みに合う靴がないから、他で探して持ってきて。そしたらそれを使ってコーディネートを考えようよ。」と言ってくれたのです。無理にお店の商品を勧めずに、私の好みや似合うものを尊重しようとしてくれた店長さんの対応に、私はとても安心しました。それからは家族ぐるみでお世話になり、今でもお付き合いが続いています。

 

こうやってさかのぼってみると、本当にたくさんの人たちのおかげで今の私があるんだと実感させられます。ただ、私は年上の人とはうまくいっても同級生や同世代の人とはうまくいかないと思っていたところがありました。

でもよく思い出してみると、孤独だと思っていた教室の中でさえ、私を心配したり気遣ってくれたりした子がいたのです。それを「私の気持ちなんてわかるはずない」と自ら心を閉ざしてしまっていたような気がします。

 

そして当時の私はその時その時を生きるのに精いっぱいで、こんなふうに私を大切に思ってくれていた周りの人たちへ感謝するどころか、そうしてもらって当たり前だという傲慢さと甘えばかりだった気がします。また、つらいことや哀しいことばかりに執着して、自分一人で勝手に苦しんでいたようにも思います。

楽しいこともうれしいことも感動することもたくさんあったはずなのに、そしてつらいことの中にも私に見えていなかったことがたくさんあったはずなのに、自分の執着のために、つらいことや哀しいことだけを集めて不幸な物語を作っていたのではないかと思います。私はあの時も一人ではなかったし、むしろこんなにもたくさんの人に支えられて生きてきたのだということに気づけなかったのです。

 

今後も人生にはいろいろなことが起こるでしょう。けれどもこれからはそれら一つひとつが私の物語をつむいでいくのです。「人生バラ色」という言葉は、一般的には幸福に満ちた人生を意味しますが、私にはたくさんあるバラの色のように人生は彩りあふれている、という意味に聞こえてきます。

 

最後に、これまでご縁のあったすべてのみなさんにこの場を借りて感謝の気持ちを伝えたいと思います。

今まで支えてくれて本当にありがとうございました。

私はいまこんなふうに生きています。

 

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