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青年期・成人期の摂食障害の課題

[2013.11.05]
「思春期に特有の疾患」と考えられていた摂食障害は、発症の低年齢化・高齢化が問題になると同時に 人生の各ステージでの取り組み方の違いも少しずつ報告されるようになってきました。 摂食障害が思春期以降に長期に続いている場合、
治療は受け身から自己選択・自己責任へ、家族も過許可・過容認の態度から、自分自身の生活を大切にする方向へ、上手にギアチェンジすることが大切だ。
と西園マーハ文先生はおっしゃっています。(「対人関係療法と自助努力(セルフヘルプ)」参照)   青年期や成人期の摂食障害への対応は思春期とは異なり、「社会的自立(共同幻想)」がテーマになるため(思春期では「個としての心理的自立(個人幻想)」)、経済面を含めた社会生活への援助とセルフケアの方向へ転換していくことが必要とおっしゃっています。 個人幻想や共同幻想については「刹那の反転3〜主体的意識の立ち上がり」を参照してくださいね。 つまり、思春期までの摂食障害の治療には、母親をはじめ周囲が治療に果たす役割が大きく、そのため思春期の摂食障害では家族療法が第一選択となっていますよね。   さて、西園先生はセルフケアの方法として
1) 食事は自分の責任。体重が減ってきたときに自分で気づくのも治療目的。 2) 過食嘔吐は本人の責任。 3) 疲れているかどうか自分で判断し、休むかどうかも自分で判断する。
という、主体性の確立をおっしゃっています。 ちょっと厳しいなぁと感じられた人もいらっしゃるかもしれませんね。 でも対人関係療法でも「医学モデル」としての「病者の役割」で「病気は単なる状態ではなく、社会的役割でもある。」として
・通常の社会的義務の免除 ・ある種の責任の免除 ・病気の人はできるだけ早く抜け出すべき状態にあり「助けを必要としている」 ・改善を助けてくれる人に協力するなど、患者としての義務
『症状はコントロール出来ない。でも一歩一歩治療に取り組むことは出来る。』と同じことを言っていますよね。   西園先生がおっしゃる「責任」という言葉は、三田こころの健康クリニックでの予備面接の時に「主体性を育む(自分の選択に自覚と責任を持つ)」という言い方をしています。 責任とは、任ぜられたこと(義務)を責められることではなく、responsibility=response(対応=re-+spondere=約束をもってお返しする)+ability(能力を持つものに課せられる義務)ですから、責任とは約束をもってお返しするという行為へのコミットメント(取り組む義務)とその結果を引き受けること(アクセプタンス:受容)ですよね。   もう一つ、西園先生は大切なことをおっしゃっています。 それは「自分で気づく」「自分で判断する」という「自覚(アウェアネス:awareness)」です。 つまり、「責任(取り組む義務と結果の受容)」と「自覚」が青年期から成人期のテーマである「自立」ということで、とりもなおさずそれは「病者の役割」ということですよね。 拒食症では、食べものの種類や食べ方へこだわる完璧性(強迫的傾向)や新しいことへのチャレンジを嫌う損害回避傾向は難治性であるといわれます。(「摂食障害と性格傾向」参照) しかし、過食症では損害回避傾向はあるものの、冒険好き(新奇性追求)を併せ持つため、長いこと病気であることに飽きる、あるいは持ち前の行動力を活かすことができれば過食症は罹患期間が長くても回復率が高まります。   摂食障害の治療の柱は精神療法ですから、今の不健康な安定に逃げ込まずに、責任と自覚をもって健康な本当の意味での安定(自立)に向かう勇気を持つこと心のブレーキ(損害回避傾向)を冒険好き(新奇性追求)を使って外すトレーニングが過食症の治療テーマになりそうですよね。 院長
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