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衝動性と強迫性〜摂食障害との関係

[2014.02.17]

過食症と衝動性』で過食症での衝動性は、前頭前野-辺縁系回路の不活性化が関与していることを紹介しました。

前頭葉では、前頭前野眼窩部がとくに衝動性と関連が深く、前頭前野眼窩部に隣接する島皮質前部は、すぐにはもらえない大きな報酬を選択するセルフコントロールと関連があることが知られています。

また過食症だけでなく、ADHD(注意欠陥/多動性障害)やトゥレット障害でも前頭前野-辺縁系回路の機能障害が見られ、この前頭前野-辺縁系回路は強迫性障害と共通する機能障害であることも示されています。

 

衝動性と強迫性という一見対極にある行動が起きるのは、辺縁系の線条体の原始的なステレオタイプな行動を前頭前野眼窩部がどこまで押さえられるかであり、報酬の時間遅延というリスクと報酬量の大きさによる選択によると考えられています。

実際、「ネット依存症」の青年では右外側前頭前野眼窩部、右帯状回峡、右眼窩部、左外側後頭皮質に有意な菲薄化が認められたという報告があるように、この前頭前野-辺縁系回路は報酬系(ドパミン)や依存症との関連も知られています。

つまり、衝動性は「行動を抑制して待つ」という報酬の時間遅延に対する嫌悪であり、強迫性障害や自閉症スペクトラム障害でみられる常同行為は、不全感を抱えたままではいられない行動制御の困難(気分不耐)ということになり、これも時間遅延の嫌悪と捉えホランダー(Hollander)らは衝動性と強迫性は「強迫スペクトラム」として位置づけられるとしています。

 

ホランダーらは、強迫性が強ければリスク回避行動(クロニンジャーの「損害回避(心配性)」)が強まり、衝動性が強ければリスク探究行動(クロニンジャーの「新奇追求(冒険好き)」)が強まると述べています。

上記の図を見ていただくとわかるように、「拒食症」と身体醜形障害(外見についての想像上のとらわれ)アスペルガー症候群、強迫性障害は、一つの群(クラスター)を形成しているようです。

また買い物、クレプトマニア(窃盗癖)、物質依存、自傷行為などと「むちゃ食い・過食症」はグループを形成しており、合併・併存疾患が明確にわかりますよね。

 

この衝動性と強迫性をつなぐものは「報酬の時間遅延に対する嫌悪」、つまり

ある種の非適応的、非建設的な行動を行わずにはいられない抑えがたい衝動(craving)
その行動を開始し終了するまで、多くの事項は目に入らず、自らの衝動をコントロールできない(impairment of control)

という、目の前の小さな報酬に対する「渇望(craving)」と考えることが出来そうです。
(『対人関係療法による摂食障害の治療6~過食症の周辺(依存性)』参照)

たとえば、ダイエット中の人が、目の前のケーキを食べること(小さな報酬)とダイエットの失敗、目の前のケーキを食べないこと(小さな報酬を避ける)による将来のスマートな身体(大きな報酬)との葛藤に置かれています。

時間遅延に対する葛藤である「渇望」に対して、目先の小さな報酬より将来の大きな報酬の選択というセルフコントロールが対処法になりそうですよね。

院長

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