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摂食障害の最新事情(DSM-5)

[2014.09.01]

DSM-5では、「拒食症」が『神経性やせ症』「過食症・排出型」が『神経性過食症』、そして「過食症・非排出型」と「むちゃ食い障害」が『過食性障害』となり、診断基準も若干、変更になりました。

 

神経性やせ症/拒食症(神経性無食欲症)』では、「肥満恐怖」と「無月経」が必須項目でなくなり、「期待される体重の85%以下」も削除されました

「制限型」と「過食/排出型」という下位分類は変更はありませんが、BMIによる重症度の基準が追加されており、BMI: 18.5以下を低体重とするようですが、わが国では、前・大阪市立大学教授の切池先生がBMI:18を著しい低体重の目安としたらどうかという案をだされており、三田こころの健康クリニックでは妥当な数値と考えています。

食べない・食べられない・食べたくない」という症状だけで『神経性やせ症/拒食症(神経性無食欲症)』が診断されるようになると、似たような病態を呈するけれども、病態が全く異なる疾患が『神経性やせ症/拒食症(神経性無食欲症)』と診断されるようになります。
この問題については、次回以降、このブログで書いていきますね。

 

一方、『神経性過食症/過食症(神経性大食症)』は、自己誘発嘔吐など不適切な代償行為を伴うものとされました。

つまり、DSM-IVでいう「過食症・排出型」のみがDSM-5では『神経性過食症』となり、「拒食症(神経性やせ症)・過食/排出型」との違いは低体重を伴うかどうかで区別することになりました。

しかし、やせ(体重減少)による身体症状や精神症状があれば、BMI: 18.5以上でも「神経性やせ症」と診断されることになります。
診断名と体重(BMI)が一致しないというのは不思議な感じですよね。

 

またこれまで「気晴らし食い」「むちゃ食い」と呼ばれていた「binge eating」は正式に「過食」という呼び方に変わりました。
ようやく「過食」≠「大食(over eating)」が明確になりましたよね。

またそのほか、過食(むちゃ食い)の頻度が最低週に2回から週に1回となり、より軽症例も診断可能になった一方、「自己評価が体重や体型に過度に影響される」という項目はあるものの、症状(症候)だけしか診ない精神科医によって健常者でも病気と診断されてしまう可能性が高くなりますよね。

 

さて「過食症・非排出型」と「むちゃ食い障害」など、自己誘発嘔吐など不適切な代償行為を伴わない
「過食/むちゃ食い」のみの症状を呈する疾患はDSM-5では『過食性障害』と呼ばれるようになりました。(『むちゃ食い症候群』参照)

 

しかし「過食症・非排出型」に比べ「むちゃ食い障害」では、コントロールの喪失感はあるものの先行するストレスが不明瞭なことも多く、回避傾向もあるため、治療に難渋することもありますが、「感情不耐」をクリアーすることができれば対人関係療法の治療効果はかなり高いですし、三田こころの健康クリニックでの治療例はほとんどの方が10年以上の「過食症」の患者さんでしたから、この対人関係療法の効果は評価できますよね。

 

「過食」や「むちゃ食い」を治したいと考えていらっしゃる方は、ぜひ三田こころの健康クリニックに相談してみてくださいね。

院長

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