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摂食障害から回復するための準備

[2017.02.06]

三田こころの健康クリニックでは、摂食障害(過食症・むちゃ食い症)の治療を希望される方に過食やむちゃ食いを抑えつけないようにと教えていますよね。

それだけでなく、過食やむちゃ食いの衝動が起きたときは、回復のチャンスが巡ってきたとも位置づけられるからなのです。

 

食べ物には、気持ちを静め、落ち着ける効果があります。実際に、むちゃ食い障害の人の報告によると、過食の引き金としていちばん多いのは、ネガティブな気持ちです。
今まで、過食は、あなたが自分を大切にするためにとってきた方法だったのです。残念ながら、この方法にはあまり効果はありませんでしたし、それどころか、逆効果でした。
あなたは自分をコントロールできないと感じ、やる気を失ってきたのですから。
食べたいという願望のきっかけになるのが何なのかを知ることができれば、こういった問題にもっと直接取り組むことができるようになるでしょう。
ウィルフリィ『グループ対人関係療法』創元社

同じことが『素敵な物語』でも説明されていますよね。

克服への道のりを進み始めた女性は、まず、食べ物や痩せることへの執着が彼女の人間性を定義するのではない、ということを理解しなければなりません。
執着は、自分がおかしい証だと考えるのではなく、今までの人生を生き抜くために必要だった自己防衛のメカニズムなのだ、と考えられるようにならなければなりません。
この自己防衛は、人と違うことで誤解され否定されているように感じたり、打ちのめされそうになったりすることで受けていた心へのストレスを耐え抜くために学んだ方法なのです。
乱れた食行動をするようになったのは、ストレスの多かった頃や心が危機的状態にあったとき、身近にあるストレス対処法の選択肢やスキルがどれだけ限られていたか考えると、実はそんなに悪いことではなかったのかもしれない、と思えるようになる必要があります。
ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』星和書店

 

もちろん治療を受けたいと受診される方は、摂食障害症状や摂食障害行動をやめたいと思って受診されていますから、「実はそんなに悪いことではなかったのかもしれない」とすぐに思えるようになるわけではありません。
でもそれでいいのです。

最終的にはこの批判的な声と私の芯の部分または健康な部分との違いがわかるようになりましたが、はじめは、例の「実感としてわかるまではフリをする」戦略でいくしかありませんでした。
つまり、考え方が変わるにつれて行動も自然に変わるのを待つのではなくて、行動を先に変え、その行動に合うように考えを変えていかなければならなかったのです。
コスティン他『摂食障害から回復するための8つの秘訣』星和書店

 

もし「実はそんなに悪いことではなかったのかもしれない」と思えたら、「自分はどう行動をするだろう?」ができるようになるために、スキルを身につける必要があります。

克服は、乱れた食行動が生き抜くために必死だった時には役立っていたんだと理解することから始まります。
それから、単に生き抜くだけでなく、やりたいことをして人生を楽しむことを可能にしてくれる、新たなスキルを学ぶのです。
もう、一日一日を必死に生き抜くことだけが唯一の目標ではありません。新しい目標は充実した人生を送ることなのです。
克服は、(自分はおかしいんだという)自己批判をやめること、必要なライフスキルを学ぶこと、次のステップに進む準備ができているよと教えてくれる自らの内なる声を信用すること、というプロセスを、ゆっくりと一歩一歩進んでいくことなのです。
ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』星和書店

三田こころの健康クリニックでは、初診時にクロニンジャーの気質性格検査を行い、環境や対人関係で身につけた性格のうち「自己志向性」と「協調性」を高めるためにはどういう取り組みが必要か?を一緒に考えますよね。

 

「自己志向性」とは自尊心のことではなく自己の次元における成長であり、どんな自分も認めることができる「自己受容」と「価値や目的の創造およびそれに沿った行動」のことです。
(『自尊心という名の落とし穴』参照)

自分自身を見つめ直すこと、スキルを身につけることは、とりもなおさず「自己志向性」を高めて新しい充実した人生を送るために必要不可欠なプロセスですよね。

院長

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