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摂食障害から回復するためにジャーナリングに取り組んでみる

[2017.12.11]

対人関係療法では、対人関係の中でコミュニケーションを通して自分の気持ちを明確にしていきますよね。

ところが、自分自身が何を感じているのか、どうしたいと思っているのかを理解できていないと、自分の希望を他者に伝えることができないだけでなく、自分自身に「こうしたい」と主張して行動を変えることができないのです。

 

ですから、「役割をめぐる不和(期待のずれ)」も「対人関係の欠如(評価への過敏性)」も、いったん対人関係から身を引いて、「自分がどんな気持ちになっているのだろう?」「本当はどうしたいのだろう?」と、自分自身に問いかけるプロセスが必要不可欠なのです。

三田こころの健康クリニック新宿では、このプロセスを【自分自身との関係を改善する】と呼んでいますよね。

 

真の解放のために必要不可欠なのは、意識すること、つまり一瞬一瞬、自分という人間と自分が本当に願う物事を自覚することです。
自分の人生や人間関係、そしてキャリアについてどう思っているかを理解するだけでは十分ではありません。感情も欲望も、それが湧き起こってくる時点で認識していなければならないのです。
そしてそれらを尊重して認めるためなら何でもするという意欲も必要不可欠です。
そこで役に立つのが日記です。

ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』星和書店

 

一瞬一瞬、【自分を振り返ること(リフレクティブ機能/メンタライジング)】は、【自己の組織化(自分の行動を説明し、首尾一貫した自己体験の連続体をつくり出すこと)】と同時に、【コミュニケーションを学ぶ】プロセスでもあるのです。

これは、成人期アタッチメントの修復でも必要になるプロセスです。

 

その方法として有用なのが「ジャーナリング(こころとの対話を記録すること)」で、そのひとつに「日記」という方法があります。

 

私は、日記をつけるというのは意識を発達させ、持続させるうえで最も効果的なテクニックだと思っています。
日記は、私たちの一番内奥にある考えや気持ちがまだ定着していなくて、誰かに話せるほどまとまっていないときにも、関心を持ち続けて追跡する方法なのです。
まだ自分に自信が持てないときでも、他人からの批判や反応から守ってくれる避難所のような役割をしてくれます。そして、思考や感情と食行動との関係をかなり明確にしてくれます。
日記をつけることによって、食行動と人生上での出来事や思考、感情とのつながりが明らかになり、「何の理由もなく」過食するという思い込みや、私たちを食へと駆り立てる不可思議な力は突然どこからともなくやってくるという思い込みを捨て去ることができます。
日記から、過食とイライラの関係性や、アイスクリームと孤独感の関係性を見て取れるようになると、乱れた食行動の隠れた理由を見つけることができ、人生でバランスの取れていない局面や滋養が足りていない局面を発見することができます。

ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』星和書店

 

三田こころの健康クリニック新宿では、患者さんに合わせて、社会リズム療法で使用する【行動記録票】をつけてもらったり、【状況分析(出来事・解釈・感情・行動・結果・期待)】を記録してもらったり、あるいは【コミュニケーション分析】など、いろんな方法でジャーナリングに取り組んでもらっていますよね。

 

ジョンストン先生は食行動記録を勧めています。

日記には、以下のことを書き留めることをお勧めします。

  1. 日付
  2. 食べたり飲んだりした時間
  3. 飲食した物
  4. 食べる直前に何をしていたか
  5. 食べる直前に何を考えていたか
  6. 食べる直前に何を感じていたか
  7. 身体的に空腹だったかどうか
  8. 食後に嘔吐するなど、何らかの方法で食べ物を排除したか

(中略)

たいていの人が、日記をつけ始めてようやく、自分が食行動に関してどれだけネガティブな自己批判をしていたかに気づきます。
「そんなに食べたなんて信じられない!あるでブタ!汚らわしい!」などと自分に向かって言っているかもしれません。食行動に対して抱く罪悪感や恥ずかしさは、日記をつけるにあたっての一貫性を邪魔してしまいます。
そんなときには、捜査官やジャーナリスト、研究者になったつもりで日記をつけ、今はただデータを集めているだけなのだ、跡で解読するための情報収集をしているだけなのだ、と自分に言い聞かせてください。

ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』星和書店

このやり方は、「衝動の波に乗」ったあとに記録することです。

対人関係療法でも取り組みますし、『8つの秘訣』P.209にもありますよね。

 

拒食症や過食症、あるいはむちゃ食い症などの摂食障害の患者さんは、「内省(自分を振り返る)が苦手」で、「思考を現実と錯覚」し、「感情に対して直面化・言語化することが難し」く、「ネガティブな考えや感情およびそれらを引き起こす状況を回避する」ために、「乱れた食行動(摂食障害症状)」を使ってしまいます。

そのため、記憶に留めておくことがすごく難しい(現実から目を背ける・情動麻痺・なかったことにする)ので、記録しておくことが大切なのです。

 

食べたらできるだけすぐに記録することが大切です。
時間が経ってしまうと、何を食べたかだけでなく、食べる前に何を考えていたのか、何を感じていたのかを思い出せなくなってしまいます。
そのため、どこにでも持って行ける小さな手帳が便利だという女性もたくさんいます。
ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』星和書店

「一瞬一瞬、自分のこころの中で何が起きているかを自覚する練習」が必要です。

この取り組みこそ、「過食したい衝動に抵抗するために、4つ目の秘訣で紹介した困難な思考と気持ちに対処するための練習と、これから7つ目の秘訣で紹介する周囲に助けを求める方法を試してみるとよいでしょう(8つの秘訣)」を使って、摂食障害から回復する道筋なのですよね。

 

院長

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