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摂食障害からの回復とマインドフルネス

[2015.11.23]

「感情受容と調節スキルを高める」とは、習慣的な思考や、感情・感覚を抑圧して考えないようにするのではなく、「そういう思考が起こっている」「そういう感情が起こっている」と「ただ気づくこと」「ただ見守ること」で、思考や感情が持っている影響力も、それらの思考や感情そのものも、心の自然な機能として消えていきます。
自分で取り組む過食(むちゃ食い)や過食嘔吐の治し方

と三田こころの健康クリニックで指導している自分の心との向き合い方を書きましたが、『摂食障害から回復するための8つの秘訣』でも同じ取り組み方が紹介されています。

 

いつしか練習を重ねていくうちに、「摂食障害のおしゃべり」が頭の中で繰り広げられているときにも、「マイナス思考を変えられない」でいる自分自身を批判したり責めたりせずに、根気強くそれらをただ認識できるようになりました。
マイナス思考が心の中にずっとあると、それだけでとても苦しいものです。
しかし、そのまま練習を続けていくと、そうした思考にはただ注意を向けて、名前をつけて、摂食障害思考だと気づいたままでいられるようになります。
また同時に、そうした思考は何かのスイッチ一つで消せるものではないのだと自分に言い聞かせて、忍耐強くいられるようにもなります。
おしゃべりが聞こえてきても、そのうち消えるのです。
思考にただ気づいた状態でいられるということは、それに対応できるようになるための第一歩です。
そして、そこに摂食障害思考があるということをふまえつつも、自分が一人の統合された人間だと改めて意識しながら、摂食障害は自分の一部分でしかないと見極められることへの第一歩なのです。
摂食障害から回復するための8つの秘訣』星和書店

 

「摂食障害の部分のおしゃべり」は自分の心の一部ですから、摂食障害の部分と健康な部分との自己内対話は、悪魔のささやきと天使の戦い(葛藤)を引き起こしてしまいます。

 

「摂食障害のおしゃべり」や「マイナス思考」を摂食障害思考だと気づいたままでいられるというプロセスは、『過食(むちゃ食い)や過食嘔吐の治療2』で書いた「心の枠組みを広げる」ということですし、これがマインドフルネスの心の状態ですよね。

さらに『気分変調性障害の精神病理』でちょっとだけ触れた、気分変調性障害の症状に気づく→症状に力を与えないというプロセスとも重なりますよね。

 

「思考にただ気づいた状態でいられるということは、それに対応できるようになるための第一歩」ですから、三田こころの健康クリニックでは対人関係療法による治療とあわせてマインドフルネスを指導しているのです。

ただ、ここに書いてあるような「名前をつける」思考を働かせると、『マインドフルネスと思考や感情との向き合い方』で書いたように心の中で起きる現象にしかすぎない動きに「名前」というラベリングを行い、実体化することでの不具合が起きてくることがありますから、三田こころの健康クリニックでのマインドフルネスでは「観照主体」をメインに指導しているのです。

 

対人関係療法による治療でも課題となっているように「○ 自分の気持ちをよく振り返る」というプロセスでは、ニューロンの新たなネットワークができるまでマインドフルネスに根気よく取り組む必要があります。
8つの秘訣』にはそれまでの取り組み方まで書いてあるところが優れたところです。

 

最終的にはこの批判的な声と私の芯の部分または健康な部分との違いがわかるようになりましたが、はじめは、例の「実感としてわかるまではフリをする」戦略でいくしかありませんでした。
つまり、考え方が変わるにつれて行動も自然に変わるのを待つのではなくて、行動を先に変え、その行動に会うように考えを変えていかなければならなかったのです。
摂食障害から回復するための8つの秘訣』星和書店

つまり「as if(かのように)」取り組んで行動を変えること、真似る(=まねぶ・学ぶ)ことが達成につながるということですよね。

院長

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