メニュー

愛着(アタッチメント)と対人的心的外傷(アタッチメント関連トラウマ)4

[2012.11.19]

未解決型の親のストレス反応や爆発的な怒りに対し、子どもは、「親は恐怖の存在である」と体験します。

また親の解離的な誤りや情緒的な麻痺は、無気力な行動を生み、トラウマティックな体験に関する侵入的で統合されていない記憶は、親の行動や気分に予測できない変化をもたらし、いずれも子どもにとっては恐怖となります。

 

このように親の未解決型のトラウマは、子どもに恐怖を喚起させるような行動につながり、子どもは親の予測できない行動に怯え、アタッチメント関係を維持するための一貫した行動を取れなくなるということが知られています。

 

未解決型のトラウマをもつ親との生活は、慢性的で累積的な恐怖体験を生じやすいため、
子どもは「コントロール:::養育」「コントロール:::敵」という方略を発達させ、このパターンは青年期の親子関係においても持続することがあると言われています。

虐待と愛着(アタッチメント)2~反応性愛着障害』でも触れましたので、参照してくださいね。

 

それだけでなく、未解決型のトラウマを持つ人は、成人期のアタッチメント関係において、大きな困難を背負う危険性も高いといわれます。

これまでの研究では、

・深刻なPTSD症状は人間関係ストレスにつながる
・性的虐待を体験した女性の半数近くは、再犠牲化される

などが報告されています。

 

またストレス反応と情緒的麻痺は、成人期のパートナーとオープンな関係を難しくしますし、過去のトラウマが養育者からの虐待を含め人間関係の暴力に由来するような場合、サバイバーは関係性のリスクを評価できずに、自分自身を守る行動をうまくとれないといわれます。

 

では、トラウマティックな体験を解決するにはどうしたらよいのでしょう?

トラウマティックな体験をうまく解決するためには

・ストレス制御(トラウマティック名出来事に伴う極度の恐怖と無力感のマネージメント)
・トラウマティックな出来事が、自己や世界についての核となる認知的前提に与える影響に対処すること
・トラウマティックな出来事を統合し、評価しながら、自分自身や他者に対する肯定的な期待を回復すること

が必要と言われています。

 

一般に。
アタッチメント対象による安心感などのソーシャル・サポートは、サバイバーはトラウマの記憶(フラッシュバックも含む)に耐え、それを再評価する過程を通過し、その出来事を受容し、その記憶を連続した自叙伝的ナラティブ(物語)に統合するのにとても重要かつ不可欠な役割を果たすことが知られています。

しかし、アタッチメント関連トラウマでは、アタッチメント対象を安全基地として利用するのは難しいかもしれません。

次回は、そのあたりをもっと詳しくみていきましょう。

院長

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME