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怒りが教えてくれるもの

[2020.07.24]

治療を始める前の私は、イライラすることが多く、些細なことでも怒りが爆発していました。しかも一度怒りが沸き上がるとなかなかその感情を鎮めることができませんでした。例えばこうです。

 

だいぶ昔の話ですが、夫があるお店で焼き鳥をテイクアウトしてくれたことがありました。食べきれなかったので残りを冷蔵庫にしまいました。

仕事から帰って冷蔵庫を覗くと、焼き鳥が見当たりません。夫が処分したというのです。

それを聞いた私は烈火の如く怒り、「あんなに楽しみにしてたのにどうして捨てちゃうの!!あんたなんか焼き鳥以下だ~!!!」と叫んでしまいました。

夫は、そもそも当日中に食べなければいけなかった焼き鳥を処分しただけで、何も怒られるようなことはしていないのです。ましてや焼き鳥以下扱いされるとは想像すらしていなかったでしょう。今となっては笑い話ですが、当時の私はこんなことでも怒りを爆発させていたのです。

 

今振り返ってみると、私は自分の中にある怒りという感情を、そしてその激しさをとても恐れ、嫌悪し、恥じていました。

怒りを表出してしまった後はなぜ私はこんな小さなことでイライラしてしまうのだろう、なぜ私は怒りをコントロールできないのだろうと、決まって後悔し落ち込みました。

怒りという感情は、当時の私にとってはコントロールできないとても厄介で面倒なもの、いつか大きな間違いを起こしてしまいそうな危険なもの、そんな存在でした。しかし、怒りを長引かせてしまう要因は、まさにそこにあったのです。

 

アニータさんは、「摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語」の中でこう述べていますよね。

感情と行動を区別することは、とても大切です。行動はコントロールできますが、感情はできません。それぞれ別の命があるのです。感情をコントロールしようとするのは、山を泳いで登っていくのと同じくらいに不可能なことです。

行動と違って、感情はあなたや他の人を傷つけません。抱いていることが不快だったり、居心地の悪いものだったり、(正しく表現されないと)暴力的な行動の起動力になったりすることはありますが、感情自体は悪いものでも、破壊的なものでもありません。

しかし、きちんと認識されなかったり受け入れられなかったりすると、トラブルを起こすことがあります。感情はエネルギーの波で、私たちの中を流れていくことも、それを塞いでしまうこともできます。けれど、ただ消え去ることはありません。無視したり押し殺したりすると、ますます力を増し、ねじれて間違った方向に表現されてしまうのです。

アニータ・ジョンストン著「摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語」より

感情そのものはコントロールできるものではない、そして感情そのものは自分自身や他者を傷つけることはないと仰っています。さらに、アニータさんは怒りという感情の意味にも触れています。

たとえば、怒りは何かを明確にして力強さを与えてくれます。怒りの勢いを全力で受け止めると、どれだけ物事が明確になるかに驚くでしょう。「自分はこれに腹を立てている。これが原因だ。そしてこれをどうにか変えないといけないんだ!」と認識すると、その認識がもたらしてくれる明確さに安心感を覚えるものです。

怒りとの良い関係によって、前に進もうという決意、自分を持ち続ける強さ、そして、周囲に何がOKで何がOKでないのかはっきりと知らせるエネルギーと、物事への焦点を得ることができます。

アニータ・ジョンストン著「摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語」より

生野先生との治療の中では、怒りの原因には大きく3つあることを学びました。

一つ目は傷つけられた(攻撃された)、二つ目は予定が狂った(思い通りにならない、期待が外れた)、三つめはありえない人に対する怒りです。

そして自分の怒りはどれに当てはまるのか。どんな感情も感じたことは正しいと受け容れること。怒りの奥にある自分の気持ちやその時の状況を振り返ること、などに取り組みました。

例えば自分や相手の期待が何だったのか、そして私の期待は相手にとって妥当なものだったのかどうか、具体的にどのようなことであれば実際に実行できそうかということです。

このような治療を通して、私は徐々に“感情は敵ではなく、いち早く自分に何が起きたのかを教えてくれるサインなのだ”と感じるようになりました。そして、少しずつ私の中の怒りはその激しさを失っていきました。

 

アニータさんの言葉です。

感情を邪魔者として敵視することをやめると、新しい関係を築くことができます。感情と友達になれれば、人生という旅の味方、案内人となってくれるのです。

そして、その感情という人生の案内人は、自分がどういう人間なのか、本当に欲しいものは何なのかを理解させてくれ、人生の深みへと連れて行ってくれるはずです。

アニータ・ジョンストン著「摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語」より

 

どうぞ自分の感情を恐れずに、自分という一人の人間に興味を持って接してみてください。

それがきっと、あなたを回復への道に導いてくれると私は信じています。 

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