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対人関係療法による摂食障害の治療〜治療導入

[2012.05.11]

対人関係療法による神経性大食症(過食症)の治療では、初期の課題が盛りだくさんですよね。

対人関係療法の重要な部分は、「医学モデル(「病者の役割」)」「症状とストレスの関連づけ」「焦点とする問題領域」という3つの柱ですので、これらについて説明をしていきます。

神経性大食症(過食症)の治療マニュアルでは、初期の3〜4セッションで上記を行って行くことになっていますが、実際問題として、ライフチャートを補完していくだけで4セッションは必要です。汗

そうなると、初期のセッションを長くせざるを得ず、また発達障害や拒食の要素を背景にもつ患者さんでは変化が困難なため、水島先生に相談したことがあるんですよ。

16回とか20回という回数にこだわる必要はなく、治療戦略をきちんと立てられていて、焦点とする問題領域への取り組みが期間限定であればいい、ということでした。

 

対人関係療法では、4つの問題領域のうち1つか2つを選んで、治療の初めから、常に終結に焦点が当てられ、限定された期間で変化を起こすことが中心的な課題になります。

しかしながら、変化への準備が出来ていないと、治療による変化へうまく適応できないということが起きてきますよね。

そのため、三田こころの健康クリニックでは、初期のセッションを「アセスメント・心理教育などの治療の土台作り」「問題領域の決定とフォーミュレーション」に2分割しているんですよ。

治療の土台作りについては過去のエントリーで触れたように、予備面接(治療の土台作り)といっても正式な治療そのものなのですよね。

 

さて、神経性大食症(過食症)での「医学モデル(「病者の役割」)」とは、水島先生の『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』の第6章にもあるように、

が基本になります。

「症状とストレスの関連づけ」は

の内容のまとめとして、「自分の気持ちをよくふり返り、言葉にしてみる」「自分のまわりの状況(特に、対人関係に関するもの)に変化を起こすよう試みる」の2つになります。

 

この「病者の役割」を引き受けられるかどうか、つまり、治療に取り組めるかどうかが、治療導入が出来るかどうかの分かれ道になるんですよね。

院長

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