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対人関係療法による変化のプロセス~ありのままの自分と出会う

[2014.06.23]

摂食障害(過食症)や気分変調性障害(慢性うつ病)などの対人関係療法での治療をすすめていくときは、対人関係療法の初期にライフチャートを用いて

・親子関係をはじめ、これまでの生活史やその他の環境とのかかわり方
・自分自身の気質や性格などの内面や行動パターンを見つめ直す作業

を通して、「ありのままの自分を客観的にみつめ向き合う」プロセスが必要になることがあります。

このプロセスは疾患教育だけでなく、

・好きで病気になったわけではない
・症状はコントロール出来ない

という「医学モデル」を徹底させ

・症状はコントロール出来ない、でも一歩一歩、治療に取り組むことはできる

という「病者の役割」を引き受けることにもつながります。

つまり、問題となっている行動に対しての無抑制、無力を認めるというこのプロセスはありのままの自分をありのままに見つめるという「ジャッジメントを下したということに気づき、それを手放す」ことでこの気づきと、そのこと自体にはジャッジメントを下さないことが「自尊心(自己志向)」の土台になるのです。

しかし、私たちは慣れ親しんだ観念(先入観)にとらわれてしまいやすい傾向を持っていますよね。

過食症などの摂食障害や気分変調性障害(慢性うつ病)では自尊心が低下してしまうだけでなく、ものごとを自由に考える力も低下しているので、慣れ親しんだ観念(症状)の枠内にとどまり続け、変化を恐れたり躊躇したりするという状態にあります。

たとえば、対人関係療法で重視する「医学モデル」では

・治療可能な病気にかかっていることを明確にし
・病気と人格の混同をさけ
・取り組むべき課題を明確にする

ために、正確な診断を行い、診断名を告げますよね。

しかし自尊心が低下した状態では、診断されるという受動的(受身)な態度におちいっているためレッテルを貼られたというショックを受けることがあります。
これはまさに「病気と人格の混同」であり、それこそが「取り組むべき課題」だということですよね。

あるいは、「いま・ここで」の「取り組むべき課題」を回避し、「なぜ?どうして?」と因果論的説明を手がかりに分析する試み(原因探し・犯人捜し・他者や環境のせい)や重要な他者に病気のことを話せないなど回避の悪循環にはまって、変化を恐れるということもありますよね。

このやり方では、いつまでも受動性(受身)のサイクルから抜けられず、能動性や自主性という主体性の回復(自由)は得られませんよね。

そのため、「新規追求性」「損害回避」「報酬依存」という気質、「自己志向(自尊心)」「協調性」「自己超越」という性格、両親やパートナーなど重要な他者、あるいは交友関係などの愛着(アタッチメント)スタイルや行動パターン、葛藤やストレスへの対処の仕方などコーピングスタイルなどをライフチャートを通して治療者と一緒に振り返ることでパターンへの気づきと、自分自身への信頼や自己を恥じない自分が培われていきます。

この「自分自身への信頼や自己を恥じない自分」とは、ジャッジメントを手放して、ありのままの自分のプロセスをただ認めるというメタ認知であり、「自尊心の土台」でもありますよね。

院長

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