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セルフ・コンパッションとインナー・マザー

[2020.09.28]

摂食障害思考に触れつつ巻き込まれない方法』と『自己内対話と他者とのコミュニケーション』で、自分の心の中をふり返って、さまざまな思考や感情を感じながら、それらの思考や感情と「一緒にいる(触れつつ巻き込まれない)こと」に取り組むために、気づき、観察すること、について説明をしました。

 

思考や感情と「一緒にいる(触れつつ巻き込まれない)こと」の後半で、ジェニーさんは、セルフ・コンパッションに取り組まれました。

セルフ・コンパッションとは、自分の感じている苦しさに気づき、優しく接するということです。

言い換えると、あなたにとって大切な人が同じような苦しみを味わっているときに、温かさや、愛情、親切さをもって接するように、自分自身にも接してあげることです。

ハリス『教えて! ラス・ハリス先生 ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)がわかるQ&A』星和書店

 

セルフ・コンパッションについてこのような説明を読むと、『摂食障害の自己中心性から抜け出す』で書いたように、「自分に優しくすると、手に負えないほど自己中心的でわがままな人間になってしまいそうな気がする」人もいるかもしれませんね。

そんな時は、「うまくいかないときは別のやり方(正反対のやり方)を試してみる」ということを試してみる機会かもしれませんよ。

 

信じられないかもしれませんが、ただでさえこんなに騒々しいところへ、声をもう一つ増やすときがきました。

今度の新しい声は、エドやそのほかの声のおしゃべりよりも取っつきにくくて、苦痛だと感じる場合も多いかもしれません。

受け入れるのが難しいのは、この新しい声が、これまで慣れ親しんできたものとは系統がちょっと違うからです。馴染みがないので、信用できないように思えるかもしれません。

増やしていただきたい新しい声は、あなたへの思いやりの声です。親切な、あなたを支える声です。

いかがでしょうか。

そう聞いたときに最初にあなたがどう反応したから、先に進む前にここで簡単に書き留めておいてください。

自分を思いやる、などという提案に対して、なんだか抵抗感があったり、怖さや怒りさえ感じたりするのはめずらしいことではありません。

シェーファー、ルートレッジ『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』星和書店

 

セルフ・コンパッション(自分への優しさ)」は、たとえば、子どもの頃に辛かったり苦しかった自分自身と向き合い、安心させてあげる、サポートしてあげる、などの「インナー・チャイルド」を癒すワークを想像してみてください。

 

ジェニーさんは自分の中のエドに感化された小さな女の子の導き手としてのワークをしています。

 

こうして、私の中のその小さな女の子に接するときには、エドにすっかり感化されてしまった子として受け入れて、導いてあげるようにするべきなのだと学びました。

女の子に何かを納得させないといけないわけではありませんでした。

そうではなく、その女の子の面倒をきちんと見てあげる責任が自分にはあるのだと、私自身が受け入れる必要がありました。女の子の行動は間違っていると話して聞かせる必要はありませんでした。

そうではなくて、私自身が正しい行動のお手本を見せてあげないといけなのでした。恐かったけれど、私は、自分の中に隠れている小さな子どもを育ててゆく親としての責任を受け入れ始めました。

シェーファー、ルートレッジ『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』星和書店

 

ここで大切なことは、自分を癒すプロセスは一般的なインナー・チャイルド・ワークと違って、過去を探ることでも、過去に遡ることでもない、ということに注意してくださいね。

 

そうではなくて、『素敵な物語』にあるインナー・マザーを育てるワークが必要なのです。

 

さて、今日から一週間かけて、次の作業をしてください。

一日に一回でかまいませんので、思いやりのある視点から自分に向かって何かを語りかける形で、五項目を書いてみましょう。

(中略)

何を書いてもかまいませんが、前向きな励ます言葉にしましょう

そして一週間のうちの一日は、特に肯定的なエネルギーに満たされている時を見つけて、愛情をこめた語りかけの言葉を書き下ろしてみましょう。

(中略)

それから、親切で思いやりのあるコメントを自分が本気で信じているかどうかは気にしないでください。

この練習では、たとえ信じられていなくても、ともかく書いてみることが大切です。

ちょっと不思議な、やったことのない作業をしているのだと考えてみましょう。

シェーファー、ルートレッジ『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』星和書店

 

一見、ポジティブ・シンキングのように見えるこのワークは、実は、セルフ・コンパッションのワークになっているのです。

 

クリスティーン・ネフは、セルフ・コンパッションには、① マインドフルネス、② 優しさ、③ 共通の人間性(苦しいのは自分だけでなく、人間誰にでもあることであるという認識)、の3つの要素があると説明しています。

こころの健康クリニックでも初診の時に、クロニンジャーの気質性格検査の説明で、「自己志向自己の次元の成長)」の中の「自己受容(どんな自分も認めることができる)」の3つの要素の1つとして、セルフ・コンパッションを説明していますよね。

 

自分の心の中をふり返って、さまざまな思考や感情に気づき、観察すること(これがマインドフルネス)、そしてセルフ・コンパッションによって、思考や感情と「一緒にいる(触れつつ巻き込まれない)こと」ができるようになってくると、価値や目的の創造とそれに沿った行動という「ライフ・ゴール」が生まれてきますよね。

 

これは「衝動の波に乗る」の4つ目の質問である「本当に必要としてるのは何だろう?」の答にもなっていることがわかりますか?

 

そして、「ライフ・ゴール」に導かれた生き方を行動できるようになることが、過食や過食嘔吐の対人関係療法による治療で目指していくところなのです。

 

院長

ハートネットTV「“摂食障害”とつきあいながら きょうを生きる
2020年9月29日(火)午後8時00分 〜 放送されます。
 

日本摂食障害協会理事長の鈴木眞理先生が代表者を務める研究班で、ご家族を対象として「摂食障害患者を抱えたご家族が先輩家族に相談してみたい内容」についてアンケート調査が行われます。

対象:摂食障害患者のご家族限定
所要時間:20分程度
謝礼:Quoカード(1,000円分)
参加申込締切:令和2年11月30

研究への参加をご希望される方は、こちら↓のWebページよりお申込みください。
参加申込URL:https://select-type.com/e/?id=Uq2FnwWnF-k

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