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「回避/制限性食物摂取障害」と子どもの摂食の障害

[2013.09.02]

DSM-5では「回避/制限性食物摂取障害」が摂食障害のカテゴリーに入れられました。

もともとは、DSM-IVで「幼児期または小児早期の栄養摂取障害(哺育障害)」とされていたもので、食物摂取の制限や回避をするのは6歳以下の幼小児期または小児期早期だけではなく、学童期や前思春期の児童にもみられることから摂食障害に入れられたようです。

 

もともと「食物回避性情緒障害」とか「制限摂食」や「食物拒否」あるいは「選択的摂食」などのグレート・オーモンド・ストリート・ホスピタルのクライテリア(GOSC)を組み込んだ診断基準になっています。

上記のように、食べものの制限や回避のすべてが、体重や体型についてのこだわりと関連していないのが特徴で、「やせ願望」や「肥満恐怖」が明確でないにもかかわらず体重増加に対するあらゆる試みに抵抗する「拒食症」の中で、「思春期やせ症・前思春期群」とか「強迫性」あるいは「スキゾイド」のパーソナリティ特性と考えられてきた一群が、この「回避/制限性食物摂取障害」に入りそうで、「制限型・拒食症」とは明確に区別されることになりそうです。

 

たとえば、言語化や自己客観視が困難な要素もあり、なぜかはわからないけど食べられない、逆に、ある状況下ではまるで反抗するかのように食べない、食べ物の感触がイヤ、あるいは嘔吐恐怖による偏食やもともとの小食だけでなく、身辺のことをすることへの拒絶など、主に、「やせを呈する状態」が列挙されています。

このような食べ物の回避や食べることの拒絶は、アスペルガー症候群や発達障害にともなう食行動・食習慣の異常としてみられることも多く、「拒食症」とは診断されなくなりそうですね。

 

この「回避/制限性食物摂取障害」は小児期早期(小学校以前)にみられるとされていたのですが、学童期や前思春期にもみられることがわかってきましたし、思春期や青年期でも発症するようです。

 

「拒食症」ということで対人関係療法による治療を申し込まれる中に、このような「回避/制限性食物摂取障害」と診断せざるを得ない人も散見されます。

「回避/制限性食物摂取障害」は準備因子が個人の特性であり、誘発因子は特定不能(こだわり・のめりこみ・過集中・常同行為)、維持因子は不明ですから、対人関係文脈を重視する対人関係療法ではなく行動療法の要素が有効なようですね。

院長

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