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どのくらいの期間リワークに通えば復職できるか

[2020.06.17]

最近では、リワークプログラムを修了することを復職条件としている会社も増えてきています。

 

自分に必要なリワークプログラムは何か』で解説したように、「職場リワーク」「職業リハビリテーション(職リハ・リワーク)」「医療リワーク」の違いを理解した上で、自分にあったリワークプログラムを選ぶ必要があります。
(うつ病リワーク協会の『リワークプログラムについて』も参照してみてください)

 

企業や官公庁で行われる「職場リワーク」は、『心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き』にある「職場復帰支援プラン」に該当します。

「職場リワーク」は、主治医から復職可能の診断書が提出された後に、通常業務への復帰までの「試し出勤」のようなもので、4週間から8週間かけて職場復帰訓練を行うものです。

「職場リワーク」では、職場にいる時間を少しずつ長くしていく間に、臨床心理士や保健師との面談を行い、産業医との面談で復職後に安定して働けるかどうかを判断し、最終的に職場復帰の可否を決定します。

 

地域障害者職業センターや公立のリワークセンターで行われている「リワーク支援」は、休職者・事業主・主治医を支援する目的で、3ヶ月〜4ヶ月の「職業リハビリテーション(職リハ・リワーク)」が行われています。

「職リハ・リワーク」のプログラムの内容は、復職に必要なセルフケアや疾患に関する学習についての読書課題、コミュニケーション、ストレス対処、認知行動療法、アンガーコントロールなどについての講座学習のほかに、データ入力、伝票作成・照合、作業日報集計、データベース検索修正などの事務作業、商品ピッキングなどの軽作業、共同研究とプレゼンテーションなどがあります。

「職リハ・リワーク」は、治療のための精神療法あるいは集団療法ではないため、症状の改善やプログラム内の行動観察を診断や治療に反映するなど、医療的リワークで行う内容は含まれていません。

 

医療リワーク」では、①自分の状態を振り返る、②自分の特徴に気づく、③改善するための工夫を試してみる、のプロセスを身につけていきます。

医療リワークは、4ヶ月から6ヶ月と利用期間を決めている施設が多いようです。

多くのリワーク施設が、静養からの体力の回復、集中力の向上、ストレスマネジメント能力の向上、グループでの作業やディスカッションなどコミュニケーション能力の向上など、「うつ病(大うつ病性障害)」を想定してプログラムが組まれています。

 

「うつ病(大うつ病性障害)」を想定したプログラムは、「双極性障害」や「不安障害」の人に向かない上にリワークの継続が困難になりやすいこと、あるいは「自閉症スペクトラム障害(ASD)」の人や「自閉症スペクトラム(AS)の要素」を持っている方には、負荷が大きすぎるなどの問題もあるようです。

また「対人関係の問題」や「身体化症状」がある患者さんには、症状の再燃や悪化、対人関係パターンの再演が起きやすいという問題もあります。

 

多くのリワーク施設(医療リワーク、職リハ・リワーク)が、画一化したプログラムをすべて受講すれば、リワークを修了して復職可能としているようですが、産業医の立場で見てみると、復職準備性の評価が十分になされているとは言い難い面もあります。

 

こころの健康クリニック芝大門のリワークでは、起床時間、食生活、戸外での活動など「生活状況」、精神症状、身体症状、睡眠状態と昼間の眠気、興味・関心など「症状」、身だしなみ、他者との交流など「社会性」、家族や主治医との関係など「サポート状況」、トラウマ感情と就業規則の遵守など「職場との関係」、集中力、業務への関心、業務遂行能力など「作業能力」、上司との連絡や業務準備など「準備状況」、服薬コンプライアンス、健康管理スタッフとの連絡、再発防止の心構えなど「健康管理」、といった8領域23項目の「職場復帰準備性」の改善度合いを月に1度評価しながら、リワークプログラムを進めていきます。

 

職場復帰準備性の評価を行うのは、リワークプログラムで心身の負荷がかかった状態でも復職が可能なのか、復職後に再発しない状態にあるか、を評価しているのです。

 

人によって復職準備性の改善はさまざまですから、こころの健康クリニック芝大門のリワークでは3ヵ月を目安にしています。

もちろん、6ヵ月かけてじっくりとリワークプログラムに取り組む人もいらっしゃいますし、逆に2ヵ月以内の復職を目指して頑張る人もいらっしゃって、リワーク利用期間はその人の改善度合いに合わせているのです。

 

さて、復職にあたっては、復職意欲が十分にあり、症状がほとんど消失していれば、主治医から「復職可能」の診断書が提出されます。

 

復職可能の診断書が提出されると、産業医は、① 定時起床、② 疲労回復、③ 注意力・集中力の持続、の3つ、つまり、心身の負荷がかかった状態でも、(i) 生活リズムが安定していて、(ii) 注意力や集中力が持続可能になっていて、(iii) 業務を遂行する能力が回復しているかどうか、を総合して「復職可否」を判断するのです。

 

この3つの復職要件を確実に達成できるように、こころの健康クリニック芝大門のリワークでは、身体(セルフマネジメント)-心理(認知・行動パターン)-社会的機能(対人関係)に焦点を当てた「生物−心理−社会モデル」にもとづいて回復を目指していくのです。

 

リワークは、喩えて言うなら、骨折してギプスが外れて松葉杖も必要なくなった状態で、以前のように走ることができるようになるための心のリハビリ治療と考えていただくと理解しやすいかもしれません。

 

院長

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