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院長ブログ・聴心記

摂食障害思考とのつきあい方を変える(2020.03.23更新)

nature-3061436_1920摂食障害や気分変調症など、慢性に経過する病気は「治りにくい」と考えられています。

 

摂食障害を比較的診ていらっしゃる一般精神科クリニックに、12年間に受診された摂食障害の患者さん173人のうち、症状がほぼ消失し社会生活ができている改善例は5人(2.8%)、症状は残存しているけれども社会参加ができた軽快例は9人(5.2%)だったそうです。

その他、不変88.4%、悪化3.5%、死亡1.1%で、3回以内の通院中断は64%だったそうです。

 

一般的な精神科やメンタルクリニックの診療時間は、初診30分未満で、再診は5分が平均的で、どんなに長くても10分とされています。

こころの健康クリニック芝大門で2020年4月から開始する、摂食障害の一般外来をでは、初診に90分、再診には15分の時間をお取りしています。

 

面接では、摂食障害に対する心理教育的学習や、セルフ・モニタリングで生活リズムを整え症状軽減を試みるなど、対人関係療法による治療を導入する前にモチベーションを高め、維持していく治療を行います。

また、摂食障害治を専門に行ってこられた女性心療内科医師が副院長として勤務されますので、希望者には摂食障害の認知行動療法も行います。

こころの健康クリニック芝大門の【摂食障害治療の一般外来】でお知らせしていますから、参照してみてくださいね。

 

さて、『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』を読み進めていきましょう。

  

どういうことかと言うと、以前私には、「罪の意識を感じる」が口癖だった時期がありました。

臨床心理士のトムはある日、「罪の意識を感じる」を、ひょっとして私が文章の最後につける丸と勘違いしているのではないかと尋ねました。

「どういう意味かしら?」と私は聞きました。

「文章を話し終わるたびに、その言葉をくっつけているみたいだよ」とトム。

そう言われたときの私の反応をご想像できるでしょうか。 

シェーファー、ルートレッジ『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』星和書店

 

臨床心理士のトム・ルートレッジさんから、「罪の意識を感じる」という口癖について指摘されたジェニーさんはすごく驚いていますね。

 

「罪の意識を感じる」という言葉の裏では、「私は十分に自分を責めていますから、これ以上責めないでください」という感じ方があるようです。

 

そのような「罪の意識」の感じ方について、臨床心理士のトム・ルートレッジさんは、意味づけを変える「多様な見方」を示してくれていますよね。

 

「薬物依存の人たちの禁断症状のようなものさ」とトムは説明してくれました。

「良い意味での罪の意識は、新しい世界に踏み出そうとするときに、今まで通りの習慣に戻った方がいいと叫ぶんだ。自分の回復のことなんて考えている場合ではないと言うんだよ。良い意味での罪の意識は、見張り塔の上から発砲してくる刑務所の看守のようなもので、自由な世界に踏み出すために、壁を乗り越えて脱走しようとする君を邪魔するものなんだ」ということでした。

シェーファー、ルートレッジ『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』星和書店

 

不快さや失望に直面するのを避けるために使う「いつものやり方」は強化され、次第に私たちは自動的にその方法に頼るようになってしまいます。

そうなると、物事が上手くいかないとき、問題に取り組む方法変えることよりも、そのやり方では上手くいかないとわかっていても、いつもの慣れ親しんだ回避や反すうを使うことに躍起になってしまうのです。

 

ジェニーさんは「別のやり方を試してみる」ことに取り組まれました。

  

そこで私は、自分の中の良い意味での罪の意識に気づいて、それを良いこととして自分の中で認める仕組みを考え出したのです。

良い意味での罪の意識を感じたときには、ご褒美として自分にシールを1つあげることにしました。

なぜなら、良い意味での罪の意識を感じるということは、自分のことを気遣っている証拠だからです。

良い意味での罪の意識があるということは、私の人生の中で大切に思う人たちのリストに、やっと私自身の名前も付け加えることができたということなのです。

そして、私が本当の意味で大切にしないといけないものは私自身なのだということも、後に学びました。

シェーファー、ルートレッジ『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』星和書店

 

ジェニーさんは「良い意味での罪の意識」と位置づけて、それに気づく(自覚する)ことに取り組まれました。

 

罪の意識は、自由な世界に踏み出そうとする変化の時に自動的に生まれてくること、そして、変化しようとしている自分自身への気遣いであると、自分自身を大切にするセルフ・コンパッションの現れと意味づけし直していますよね。

 

このやり方は『摂食障害からの回復に「太っている気がする」を使う』で紹介した「触れつつ巻き込まれない(一緒にいる)」やり方とすごく似ていますよね。

こころの健康クリニックでも対人関係療法の土台作りの中で「自分の選択に自覚と責任を持つ」ことを教えていますよね。

 

そうは言っても、治療を受ける前の人や対人関係療法を始めたばかり人では、「そんなことができるような気がしない」「どうせ上手くいかない」などの考えが出てくると思います。

しかし、それらの考えも心の中の出来事でしかないわけで、現実ではないのです。

 

こころの健康クリニックでは、ポーシャ・ネルソンの「5つの短い章からなる自叙伝」を紹介して、上手くいかないとわかっていても同じ行動を繰り返してしまう陥穽について自覚を促していますよね。

 

そして、自分の心の中で起きることを常に自覚し、それらの考えに気づき、ジェニーさんも『過食症:食べても食べても食べたくて』のリンジーさんも取り組まれたように、失敗から学び、思考とのつきあい方を変えていく努力をやめないことが大切なのです。

 

院長

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