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非定型の摂食障害〜機能的嚥下障害と他の恐怖状態

[2014.11.01]

「食べない・食べられない・食べたくない」ため低体重になり、「拒食症」と診断されることの多いケースのうち「回避/制限性食物摂取障害」の背景疾患の中で比較的よく見かけるのが「機能的嚥下障害と他の恐怖状態」です。

 

食べたいけれども、食べてキモチ悪くなるのがコワイ」「食べたいけど、食べられない」という訴えから「拒食症」と診断されていることが多いのですが、一方では「特定の食べものなら食べられるので、そればかり食べる」ことから、「選択的摂食」にも似てみえることがありますし、場合によっては「過食症」と診断されていることもあるんですよ。

しかし摂食障害(拒食症)の特徴である「体重や体型への病的な没頭」や、「ボディーイメージの認知の歪み」はなく、嚥下(飲み込み)・窒息・嘔吐などに対する恐怖のために不安が高まり、食物摂取を回避するもので、食物の外観や質感(舌触り)にも左右され、塊の多いものや固形物を避ける傾向があり、男女ともに同様に見られます。

 

なかでも多いのがいわゆる「嘔吐恐怖」で、胃腸疾患などで気分が悪くなり嘔吐した経験や食物を喉に詰まらせたこと、食べることを強要されたり、公共の場での嘔吐や下痢、あるいはその目撃によっても発症することがあります。

「食べない・食べられない・食べたくない」という食行動異常が主訴になることが多いのですが、「拒食症」と診断されて、入院して体重は増えたけれども退院したらまた食べられなくなり体重が減ってしまったとおっしゃる方もいらっしゃいました。

また中には、吐くのではないかという不安や、胃に食物が入る違和感から身体症状を伴うことが多く、内科を受診し、さまざまな検査を受けている場合もあります。

また嘔吐にまつわる可能性を回避するためにさまざまな強迫症状を伴っていたり、電車やバスなどに乗れなくなったり、人が集まるところを避けたりするようになったりもしますので、パニック発作で通院されていた方もいらしゃいました。

 

パニック障害を併発する場合、薬物療法によりパニック発作は軽快しても、嘔吐恐怖は遺残するといわれています。

「嘔吐恐怖」を含む機能的嚥下障害では小児期では言語訓練が有効なこともあると言われます。
また恐怖症に対しては、系統的脱感作と再処理とともにリラクゼーション(漸進的筋弛緩法)を行い、段階的な暴露療法を行うことが有効とされていますので、試してみて下さいね。

院長

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