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摂食障害の治療はつながりを回復するプロセス

[2016.05.16]

想像してみてください。

物事に抵抗せずに本当の意味であらゆる事柄を受け容れたら、どうなるでしょう。
病気になり不幸になってまでも達成したいと願う体重や体型への執着をすべて手放せたら、どんな生活が待っているでしょうか。
毎日からだに不満を持ちながら生活するのではなく、ありのままの身体を受け容れて毎日を生きると、どんな人生になるでしょう。
実際に身体をありのままに受け容れることは可能ですので、あなたがたった今想像した人生は、現実のものになり得るのです。
摂食障害から回復するための8つの秘訣』星和書店

8つの秘訣』では抵抗も闘いもせず受け容れること、つまり自分の感情や思考をあるがままの状態で認めることで、その先にある価値に沿った行動や生き方ができるようになることの重要性を強調しています。

 

共著者の一人であるグエンさんも

私はこの8つ目の秘訣で詳解してきた練習のほとんどを直接体験しましたので、それがどれほど役に立って意味深いかということがよくわかります。
どの練習も、キャロリンが、中庭を慈しむようにして何年もかけてくふうしながら作り上げてきたものです。

私が摂食障害にどっぷりとつかりきっていた頃には、感覚がかなり鈍っており、精神的なレベルではなかなかつながり合えなかったことを覚えています。
身体からも、感情からも、周囲の人たちからも切り離されていたので、自分の一番奥深い部分にある魂とも切り離されているように感じられたのは、当然だったのでしょう。
摂食障害から回復するための8つの秘訣』星和書店

 

摂食障害という病気は、水島先生が『摂食障害の不安に向き合う』に書かれているように、自分の身体や感情、思考への信頼感が離断されただけでなく、周囲の人たちへの信頼感、世界への信頼感も断ち切られた孤独の中に閉じ込められたトラウマと同じ構造のようです。

ですから、摂食障害の治療では、断ち切られたつながりを取り戻していくプロセスになるのですよね。

 

家の中で特定の位置を決め、人生のための4つの原理や8つの秘訣、あるいはお気に入りの引用句を書き出して貼っておきましょう。
クライエントさんたちは、そうしたものを日ごろから目にするだけで、人生で意味深いと感じる考え方や物事とのつながりを保ちやすくなる、と話しています。
摂食障害から回復するための8つの秘訣』星和書店

自分の魂(こころの本質)とのつながりを土台にして、思考や感情などの心の動き、あるいは自分の身体、両親や恋人、パートナーまたは友人など周囲の人々、そして、自分のまわりで起きるさまざまな出来事などとつながりを取り戻していくプロセスを進めるために、『8つの秘訣』では、あるクライエントさんのメッセージが紹介されています。

 

その日その日で困難に直面しますが、魂を感じるようにしているので、もう以前のように摂食障害行動に振り回されることはありません。
(中略)
大切なのは、上手に注目することです。そうすれば、人生をはっきりと明らかにとらえることができ、恐れずにいられるようになるのです。
自分の感情に責任を持ち、それが自分の身体の中に存在していることに気づき、それを感じて表現する必要があるのです。身体をありのままに、批判せずに受け容れるようにしましょう。周りの人々に対して誠実に振る舞い、批判せずありのままに話すようにしましょう。
「あるがまま」ではなく、常に何かのふりをして行動しているとしたら、私の望んでいることがどこに根ざしているのかに決して気づくことはできないでしょう。
私は、今も毎日の生活の中でマインドフルネスを実践していますが、そのおかげで、魂の部分とつながり合えていると思っています。
摂食障害から回復するための8つの秘訣』星和書店

 

摂食障害で苦しまなくなった1週間をドキュメンタリー撮影したら、治療や自分での取り組みの成果はどんな形で現れているでしょうか?、その映像の中のあなたはどんなふうに振る舞っているでしょう?、どんな表情をして、どんな話し方をしていますか?、あるいは、ほかの人への接し方はどう変わっているでしょう?

1週間の過ごし方を具体的に考えてみるのが、冒頭に引用した部分のイマジネーションを助けてくれるかもしれませんよね。

院長

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