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摂食障害の変遷〜過食症

[2013.03.11]

現在、改訂作業が進んでいるDSM-5では
あらたに「むちゃ食い障害(BED)」という診断が
独立して扱われるようになりました。

「むちゃ食い障害(過食性障害:BED)」は
むちゃ食い(過食)のエピソードは
神経性大食症(過食症:BN)と共通しますが、
自己誘発嘔吐や緩下剤、利尿剤の乱用、
あるいは絶食や過激な運動など
不適切な代償行為を伴わないとされています。

神経性大食症(過食症:BN)にも変更が加えられ、
これまで嘔吐や下剤、利尿剤の乱用を伴う排出型(BN-P)と
絶食や過激な運動で代償行為を行う非排出型(BN-NP)
という下位分類がなくなります。

先日、TVに出ていたお医者さんが
摂食障害は「拒食症」「過食症」「過食嘔吐」の3タイプがある
ということを言ってたのにオドロキました。

DSM-5から標準体重以下であれば「拒食症」
・制限型:過食嘔吐なし
・排出型:過食嘔吐あり
という診断になり、明確な制限型拒食期がなくても
過食嘔吐により低体重をきたせば拒食症と診断できることになります。

つまり、従来から典型的な経過とされている
拒食期(制限型)→過食期→過食嘔吐期
は、標準体重以下であれば、すべて拒食症の病相と見なされますし、
過食嘔吐期→体重減少
という非定型的な経過をたどる拒食症も診断できることになります。

また、標準体重以上であれば
「過食症」(過食嘔吐はあってもなくてもよい)
という分類になりますし、
「むちゃ食い障害(BED)」は
「非排出型の過食症(BN-NP)」と異なり
絶食や過激な運動などによる代償行為はないこと、
つまり、肥満恐怖を伴っていないことが
大きな違いということになります。

しかし、(嘔吐や薬剤による)排出行為を伴わない絶食や
過度の運動などの代償行為は見逃されやすく、
またメタボリック症候群など単純性肥満や夜間摂食症候群、
概日リズム障害のや睡眠関連食行動異常(いわゆる寝ぼけ過食)も
「むちゃ食い障害(BED)」に該当する可能性があり、
もしかすると血糖コントロールが不良の
II型糖尿病などが「むちゃ食い性障害(BED)」と診断される
過剰診断が起きてくるかもしれませんよね。

院長

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