メニュー

摂食障害の変遷〜拒食症

[2013.03.04]

摂食障害の臨床像は、古典的な不食や摂食制限によるやせ中心の神経性無食欲症(拒食症:AN)から、これらに加えて過食や過食嘔吐(過食嘔吐を伴う拒食症:AN-BP、排出型過食症:BN-P)、特定不能の解離性障害などの精神症状、自閉症スペクトラム障害との関連や嗜癖としての他の依存症の合併、衝動過食など行動異常に移行してきている印象を受けます。

これを反映して診断基準も変遷し、DSM-IVからDSM-5に向けて改訂作業が行われています。

神経性無食欲症(拒食症:AN)では「標準体重の85%以下」の規定がなくなり、「著明な低体重」という表現になったこと、「正常体重の最低限を維持することの拒否」が削除され「エネルギー摂取を制限したことによる」という表現が追加されたこと、そして、無月経が拒食症診断の必須条件ではなくなったという3点が変更されるようです。

この変更により、月経があるかどうかにかかわらず、標準体重以下の体重で、肥満恐怖があれば拒食症と診断されるため、拒食症と診断される患者さんは増えることが予想されますよね。

またDSM-5ドラフトでは、学童期・思春期早期に発症する摂食障害を「摂食制限/回避障害」としてDSM-IVの「幼児期または小児期早期の哺育・摂食障害」と統合させるという動きがあるようです。

小児期の摂食障害の特徴として

のような特徴が知られています。

小児期の摂食障害の背景因子としての発達障害については『摂食障害の治療〜発達障害(自閉症スペクトラム障害)編』でまとめていますので、参考にして下さいね。

小児ではDSMの診断基準を用いると、「特定不能の摂食障害(ED-NOS)」と診断される割合は、43〜50%前後と言われていますから、「摂食制限/回避障害」という診断クライテリアは、DSM-5ドラフトでの「特定不能の摂食障害(ED-NOS)」がむちゃ食い(過食)を欠いたまま排出行為を繰り返す「排出障害」あるいは睡眠関連食行動異常を含む「夜間摂食症候群」に対して言及される可能性があるということですよね。

院長

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME