摂食障害と発達障害の治療〜その4
前回までのエントリーで、ADHDも広汎性発達障害に代表される自閉症スペクトラム障害(ASD)も
・自己肯定感(セルフ・エスティーム:自尊心)
・自己効力感(セルフ・エフィカシー)
の低下が、摂食障害と共通する根底にあることを見てきました。
そうなると発達障害の有無にかかわらず、摂食障害の治療を考えた場合、自尊心の回復がキーとなってきますよね。
『エビデンスにもとづく年齢に応じた介入ー小児期・思春期の精神保健サービスのためのガイド(CAMHS)』をみると、摂食障害(拒食症や過食症)の治療は以下の図のようにまとめられています。
発達障害を背景に持つ摂食障害の治療は、力動的アプローチから療育的アプローチへの変換、つまり、課題に向き合う成長モデルから、能力に見合った生活トレーニングモデルへの変換が必要と言われています。
また本人の強迫性・情緒性を刺激しないように、柔らかな枠組みで食行動の異常を見直すことも提唱されています。
これらは、対人関係療法による摂食障害の治療で行っている、コミュニケーションを中心にした対人関係スキルを伸ばしていく症状に焦点を当てずに、症状につながる出来事と気持ちを整理していくことと同じですし、これが自尊心の回復につながるのですよね。
たとえば文献的には、アスペルガー症候群に合併した精神症状に対しては、認知行動療法が基本であり、その合理性が患者に受け入れやすいということも言われています。
当然のことですが、発達障害を基礎にもつ摂食障害の治療は、ライフチャートをふり返り、一人ひとりの発達の問題や特性を意識し、発症につながる出来事をどう体験して、何が症状を維持させているのかを考えていく、対人関係療法による摂食障害の治療で行っているような
テーラーメイドの対応が必要ということですよね。
院長