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摂食障害から回復した!10段階目に到達するために

[2021.07.12]

むちゃ食いや過食、あるいは、過食嘔吐から回復するためには、食行動の異常は食べ物の問題でなく、自分の心の中で起きていることを、感じないようにする、麻痺させる、なかったことにする試みであることに気づく必要があります。

 

過食や過食嘔吐をした日の翌日は、食事を摂らなかったり運動をして過食した分を帳消しにしよう絶食したりすると、飢餓状態を生み出すことになってしまいます。

 

ある患者さんは体重を減らそうと、ありとあらゆる便秘薬や利尿薬を試そうとします。ある患者さんは断食道場に通い、ある患者さんは過食衝動を抑える謳い文句のある薬を輸入で取り寄せたりします。それで乱れた食行動が治まるなら、誰も苦労しないはずです。

これらの摂食障害の症状を抑えようとするさまざまな試みが、残念なことに、摂食障害の症状に手を貸すことになってしまうのです。なぜなら摂食障害は食欲や食行動の問題ではなく、感情調節の障害あるいは感情耐性の問題だからです。

 

それでも、乱れた食行動で悩む多くの女性たちは、それでもなんとか摂食障害から回復したいと、思いつく限りの過食を我慢する方策を試してみます。しかし、その甲斐なく摂食障害の症状を増強することにつながってしまいます。

 

摂食障害から回復することが、これほどまで難しいと感じられるのは、どうしてなのでしょうか?

 

このブログで何度も書いてきたように、ストレスが高まり、そしてその反応として何かを変えようとするときに、人はいつも自分の行動レパートリーの中で最もよく使う問題解決法を使ってしまうのです。たとえ、その方法が役立たないとしても。

ですから、うまくいかないときは、別の方法を試してみる必要があります。

 

ところが、新たな別の方法と向きあうとき、多くの人は尻込みしてしまいます。

私にはそんなことをできやしない、その後どうなるのかがわからないからこわい、何かに取り組むには忙しすぎる、など、さまざまな「回避を支える理由」を思いついて、変化を避けようとしてしまいます。

 

実際、変化しなくてはならない場面にある人のほとんど(約70%)は準備ができていないといわれます。

ですから、次の数ヶ月間に何かしてみようと試みる「熟考期」から、30日間の間に新しい行動を起こす準備ができている「準備期」に移行するときには、その間に横たわる大きな溝を跳び越えなければなりません。

 

変化を起こす準備ができている「準備期」に移行するまでのプロセスが、摂食障害から回復するときの最初で最大の関門です。

 

「準備期」の準備として、こころの健康クリニック芝大門では、『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』を読んでもらっていますよね。

 

この本を通して、今まで過食や過食嘔吐がやめられなかったのは、意志が弱いわけではなく、「摂食障害の部分(エド)」の言いなりになり、症状に手を貸すことになっていたのだ、と理解してもらうのです。

 

 

患者さんには、治療を始めたばかりの時期に、まずこの本を読みながら共感した箇所に印を付けてもらいました。

(中略)

それから、もっと後になって苦しい時期に差しかかったときに、以前に自分で印をつけた本をもう一度読み返してもらうのです。もちろん、前進していきたいと思い続けてもらうためにです。

読み返してみると、回復への道をどれほど先まで進んで来たのかが患者さん自身にもよくわかるようになります。

専門家によっては、本の余白にそのときの考えや気持ちを書き込むように指示する人もいます。

シェーファー、ルートレッジ『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』星和書店

 

「摂食障害の部分(エド)」は、乱れた食行動で悩む女性たちと虐待的な関係を築き、コントロールし、彼女たちの自己イメージを歪め、不食や拒食、過食や過食嘔吐など、さまざまな食行動をつかって、彼女たちの身体を傷つけ続けてきました。

 

そして乱れた食行動で悩む女性たちの「健康な部分(女性性)」は子どものままで、心の糧が欲しいというリクエストにうまく応えられずに、「感情を拒絶したり批判したりすることで、ほんとうに切望している導きやサポートを得ることができず、いつも栄養が足りていないように感じ、それを食べ物で補おうとするのです」。

 

「摂食障害の部分(エド)」の要求の裏側にあるニーズを理解し、食べ物ではなく慈しみをもって本当の満足感を与えてあげられるような「インナーマザー(内なる母親:健康な部分)」を育てていく必要があります。

 

そのことを理解してもらうために、こころの健康クリニック芝大門では、『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』を読んでもらっています。

 

そして摂食障害の治療では、「健康な部分(インナーマザー)」と「摂食障害の部分(エド)」との対人関係としてあつかい、乱れた食行動による破壊的な行動からの回復を目指していきます。

この時に参考にしてもらっているのが『摂食障害から回復するための8つの秘訣』です。

 

こころの健康クリニック芝大門で行っている摂食障害の治療では、「摂食障害の部分(エド)」の策略に乗らないことで「健康な部分(インナーマザー)」を成長させることに取り組みます。

 

この取り組みによって、自分自身の身体と健康的な関係を築きあげるだけでなく、自分自身であることに喜びと安らぎを見つけ、自分がほんとうに生きたかった人生を自分らしく生きる「ライフ・ゴール」をめざしていきます。これが摂食障害からの回復という成長のプロセスです。

このプロセスで向きあう課題が、「自分自身との関係を改善する」「行動の仕方を変えていく」ということです。

 

そして、患者さんを摂食障害から回復させた経験が豊富な治療者や、実際に摂食障害から回復した経験を持つ治療者と出会うことによって、治療者と患者さんがチームになり、「摂食障害の部分(エド)」との関係から解放されるためのさまざまなアプローチに取り組んでいきます。

 

患者さんの友だちや家族に本書を読むようにと勧めてくださる専門家がたくさんいます。

この本を読めば、ご本人を支えるうえで大きな役割を担うその人たちにも、摂食障害に苦しむ人の「心」がわかりやすくなるからです。

(中略)

また、この本を読めば、周りの人たちも、苦しんでいる患者さんと摂食障害そのものを切り離してとらえやすくなるでしょう。

そうすると、全員が同じ側に立って一つのチームとしてエドと戦えるようになります。

シェーファー、ルートレッジ『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』星和書店

 

さらに、周囲の人たちがサポーターとなり、患者さんの「健康な部分(インナーマザー)」を応援していきます。

自分自身との関係を改善する」「行動の仕方を変えていく」ことと合わせて、「他者との関係を改善する」ことの土台になります。

 

回復段階の7段階目「摂食障害は止められるけど、摂食障害思考が頭から離れない」と、8段階目「行動からも思考からも解放されているときが多いが、常にというわけではない」で、2つめの関門である摂食障害症状の「ぶり返し」が起きてきます。

このときには、「自分自身との関係を改善する」「行動の仕方を変えていく」ことに加えて、摂食障害にではなく人々に助けを求めること、つまり現実の他者との「関係を改善する」取り組みが必要になります。

 

どのようにして摂食障害から回復していけばいいのか、治療者である私の経験は、『8つの秘訣』『素敵な物語』そして『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』の解説とともに、すべてこの《聴診器》で書き尽くした感があります。

 

皆さん一人一人が実際にその道程をたどってみて、副院長の風間先生と同じように摂食障害から回復段階の10段階目「回復した!」に到達されることを願っています。

 

院長

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