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双極性障害の対人関係-社会リズム療法(IPSRT)による治療〜その5・実際の進め方

[2012.03.12]
NHKの『若者の心の病 情報室』にも「対人関係療法」と「社会リズム療法」が紹介されていました。 対人関係療法と異なる理論背景を持つ行動療法的アプローチである「社会リズム療法」を組み合わせた「対人関係-社会リズム療法(IPSRT)」を編み出したエレン・フランクは、双極性障害に対し対人関係-社会リズム療法を行う上で4つの治療期を記入しています。   初期 「対人関係-社会リズム療法(IPSRT)」による治療開始のタイミングはもっとも治療意欲(モチベーション)が高まる
・うつ病の急性期 ・躁状態もしくは混合性エピソードから回復期
が適していると言われています。 週1回で、対人関係療法の原則を学び、ライフ・イベントなどのライフ・チャートをつくり、取り組んでいく問題領域の設定、このやり方は、摂食障害(過食・過食嘔吐)に対する対人関係療法のやり方と違いはほとんどないですよね。 それに加え、生活における出来事とパターンの判断のために「ソーシャル・リズム・メトリッ(SRM)」を導入します。   中期 対人関係問題領域の解決に取り組みながら、リズムが乱れる典型的なキッカケを探し、活動と刺激の健康なバランスをみつけて維持し、日常の習慣の変化に適応していきます。 不安定に見えるリズムは、双極性障害の症状によるものなのか患者自らの不規則なライフスタイルによるものなのか、を治療者と一緒に考えながら進めていきます。 また、「対人関係-社会リズム療法」は、治療初期に判断した対人関係問題領域の治療とともに進めます。 つまり。 日常の習慣の規則化、社会的刺激のマネージメントを進めると同時に、重要な対人関係上の生活の変化を起こすことを促すことで、双極性障害と併存しやすい、不安障害や対人傷つきなどのトラウマ関連障害、過食や過食嘔吐などの摂食障害の並行治療が可能になるですよ。   維持期 症状、リズムの乱れ、対人関係の問題という3つの関係に取り組む方法に、患者が自信をもてるように進めていきます。   終結 双極性障害は一生にわたって付き合っていかなければならない病気ですから、「治療を終える」ことが目的ではなく、将来に向けて現在の計画を立てる上で役立つと位置づけられています。 4〜6ヶ月の間、月1回のセッションで終結を扱い、再発しやすさと再発の早期徴候を話し合います。   三田こころの健康クリニックでの対人関係-社会リズム療法(IPSRT)は、だいたいこのやり方で行っています。 双極性障害の女性は、妊娠中に著しい感情の症状を示すことがあり、産後には、気分障害のエピソードが8倍増加するなど、産後うつ病などの高いリスクを有していることが知られています。 また、リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピンなどの気分安定薬を妊娠13週までに服用することで、先天性心疾患等のリスクが増加することも言われています。 それだけでなく、双極性障害では対人関係への影響が大きく
・73%に職業および学校に関連した問題 ・38〜68%で家族関係が崩壊 ・49%に結婚生活上の困難があり、離婚率が高い(双極性障害では23.5%、一般集団では11.95%)
と言われています。 このような双極性障害の患者さんにとって、「対人関係-社会リズム療法」のような回復モデルをめざす精神療法はとくに重要であると言えますよね。 院長

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