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過食・過食嘔吐の治療

こころの健康クリニック芝大門では、対人関係療法と『摂食障害から回復するための8つの秘訣』を併用して治療を行います。

「対人関係療法」と『8つの秘訣』の治療で目指していくところは、摂食障害行動からの完全な回復と再発防止です。

当クリニックでの摂食障害治療の特徴

(回復へ向かう取り組み)

対人関係療法は1回30分(または50分)で行い、40回(または20回)までの期間限定の治療です。

対人関係療法による専門的な治療では、「8つの秘訣」に書かれている回復の10段階のうち、「8.行動からも思考からも解放されているときが多いが常にというわけではない」「9.行動や思考から解放されている」までの回復を目指します。

対人関係療法では、治療開始時の「行動変容を動機づける5段階」下記参照が治療成績と関連があるという報告があります。
そのため、摂食障害(過食・過食嘔吐)の治療では、完全な回復を目指すため本格的な治療導入前に準備期の課題に取り組んでもらう場合があります。

(再発予防のための取り組み)

過食症の再発は陰性感情や低覚醒状態が引き起こしやすいと言われています。そのため、再発予防には自分の気持ちを振り返り、感情を抱えるスキルを身につけることが重要になります。

過食者に限って見れば、個人的要因(46%)と対人的要因(52%)の双方が関連した状況でリラプスしやすい。

最も重要な個人的要因は、陰性感情状態(例:抑うつ、不安)である(33%)。衝動や誘惑が果たす割合は小さかった(10%)。

過食者に特有な点は、最も重要な対人的要因が陽性感情状態(例:幸福感)に関連したものであるという事実である。しかし、対人的葛藤(14%)や社会的圧力(10%)が関連する状況でリラプスを報告しているという点では、過食者も他の物質乱用者と同様であった。

 

過食リラプスが最も起こりやすいのは、陰性感情(怒り、不安、抑うつ)や低覚醒状態(孤独、退屈)のみならず、会食場面(家族や友人との食事)も挙げられた。食べ物や感情的キューの存在は一般的であった。

これらの研究でも、また他の研究においても、陰性感情は、不適応的な摂食行動を引き起こす、あるいは維持するうえで、とりわけ危険なハイリスク状況であるとされている。

マーラット、ドノバン『リラプス・プリベンション』日本評論社

摂食障害(過食・過食嘔吐)から回復するプロセス

摂食障害(過食・過食嘔吐)からの回復は、行動変容を動機づける5つの段階のそれぞれの時期に典型的な考え方や感じ方があります。

摂食障害を克服することに対する個人の動機づけは、治療計画において考慮すべき重要な問題である。

治療アプローチの違いにかかわらず、変化の段階についての多理論統合的モデルに基づいた研究は、変化に対する個人の方向性を理解することが、治療と個人とのマッチングを高め、治療の進展と結果に影響を及ぼすことを示した。

多理論統合的モデルは、レディネスには5つの段階があると述べる。(参考:行動変容ステージモデル

  • 前考慮期:変化することへの準備ができていない。
  • 考慮期:変化のプロセスを行うことを真剣に考えている。
  • 準備期:変化するための活動を行う計画がある。
  • 実行期:行動や認知を変化させるための活動を真剣に行っている。
  • 維持期:望ましい成果を維持し、リラプスを防止するために努力している。

いくつかのケースでは、変化の段階は、治療成績と関連があった。これはとくに、対人関係療法の結果に当てはまった。

マーラット、ドノバン『リラプス・プリベンション』日本評論社

 

1.前熟考期

問題を抱えていると思っていない、あるいは、今の状態を変えたいと思っていない。

(1)私には何も問題なんてない。

(2)もしかしたら問題なのかもしれない。でも大したことない。

(3)私には問題がある。でも気にしない。

 

2.熟考期

問題を抱えていることを自覚し、今の状態を変えたほうがいいのだろうかと漠然と思っている。しかしどこから始めたらいいのか、どうしたらいいのかわからない。

(4)変わりたいけど、どうしていいのかわからないし、怖い。

(5)変わろうとしたけど、私にはできなかった。

 

3.準備期

今の状態を変えたいという心の準備ができており、行動にも移したいと思っている。いろいろな選択肢を探して、インターネットで調べたり、セルフヘルプの本を買ったりしている。
摂食障害(過食/過食嘔吐)の治療は、この段階で開始します。

 

4.実行期

今の状態を変えたいと認識しており、実際に行動して、計画を立て、異なるやり方を試している。

(6)やめられる行動もいくつかあるけど、すべてはどうしても無理。

(7)摂食障害行動はやめられるけど、摂食障害思考が頭から離れない。しかし行動に映すことはない。

(8)摂食障害行動からも思考からも解放されているときが多いが、常にというわけではない。

 

5.維持期

新しく習得した行動を続けて、問題行動を繰り返さない。

(9)摂食障害行動や思考から解放されている。

(10)回復した!

 

「対人関係療法」と『8つの秘訣』

対人関係療法と『摂食障害から回復するための8つの秘訣』を併用した治療の中で、患者さんは以下の3つの課題に取り組んでいきます。

  • 自分の気持ちをよく振り返る(自分との関係を改善する)
  • 自分の周りの状況に変化を起こす(行動の仕方を変えていく)
  • 対人関係スキルを高める(他者との関係を改善する)

食べ物で自分を麻痺させるのではなく、自分の気持ちに注してはっきりつかめるようになる、つまり、自分自身との関係を改善し、他人との関係を改善できれば、ネガティブな気持ちをコントロールするために食べ物を利用しなくてすむようになるでしょう。
ウィルフリィ『グループ対人関係療法』創元社

 

対人関係療法と『8つの秘訣』にとり組みながら、「自己志向(自分との関係+行動の仕方)」と「協調性(他者との関係)」を、バランスを取りながら高めていきます。

「自己志向」と「協調性」のバランスは、安定した「アタッチメント」の土台にもなります。

 

※摂食障害(過食・過食嘔吐)の対人関係療法を導入できる目安は、BMI: 16.5以上で、3食の食事摂取ができているなど、脳の栄養状態が改善し、神経認知機能(記憶・注意・遂⾏機能など)と社会認知機能(他者の意図や性質を理解するなど対⼈関係の基礎となる精神活動)の問題がなくなった方としています。

 

また摂食障害(過食や過食嘔吐)の対人関係療法を希望される方は、『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』をお読みになっておくと、スムーズに治療を始められます。

 

※過食や過食嘔吐の対人関係療法による治療は【対人関係療法による治療】からお申し込みください。

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