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大人の発達障害支援

発達障害特性(自閉スペクトラム)とは

アスペルガー症候群や広汎性発達障害などの「発達障害特性(自閉スペクトラム)」は、5〜10人に1人(数%〜10%)もの人が抱えている「生きづらさ」の正体といわれています。

発達障害の特性は、あまり目立たないものから、グレーゾーン、そして日常生活に困難が生じる診断レベルまで連続的に分布するため、スペクトラムと呼ばれます。

また、自閉スペクトラムは、ADHD(注意欠如多動性症)や知的能力障害、学習障害、協調運動障害など、他の神経発達障害と合併することも多いことが知られています。

 

さらに、社交不安障害やパニック障害などの不安障害、強迫性障害、抑うつ障害などの気分障害だけでなく、摂食障害や依存症、あるいはさまざまな身体化症状や不登校の背景に、発達障害の特性が隠れていることも多いのです。

 

診断できるレベルの発達障害は、乳幼児期の育てにくさから親子関係(アタッチメント)の問題を抱えることもあります。「複雑性PTSDではないか?」「愛着障害かもしれない」と医療機関を受診される人の中には、PTSD症状がなく、感情調節障害、否定的な自己概念、対人関係性の障害など「自己組織化障害」のみを認める人が多いようです。

 

一方、あまり目立たない発達障害の特性を持ったグレーゾーンの人たちは、神経細胞ネットワークに刈り込みと再編成が起きる思春期から青年期にかけて、遺伝的な固有性である発達障害の特性が目立つようになってきます。

とくに、あまり目立たない発達障害の特性を持ったグレーゾーンの人たちは、自我の目覚めとともに周囲の人と「何か」が違うことに気づくようになり、クラス替えや進学や就職など、変化への適応が困難になることもあります。

 

不安とともに自己否定感や自信喪失が強くなり、神経過敏症状や学業不振、あるいは昼夜逆転など概日リズム障害などが目立つようになり、「気分変調症ではないか」と受診される方もいらっしゃいます。また、周囲の人とのトラブルや対人関係の問題、抑うつ、パニック発作、あるいは引きこもりなどの問題も目立つようになってきます。

 

青年期後期から成人期にかけては、社会的な不器用さや思考パターンの頑なさのせいで、大学の卒論や社会人として求められる高度な処理水準に対応できずに不安が強くなり、「うつ病」や「うつ状態」、あるいは「適応障害」の診断で休学したり休職して、抗うつ薬による治療を数年受けていても改善しない場合が多いようです。

 

女性の発達障害の特徴

発達障害の特性を持つ女子は、小学生の頃には社交的でありコミュニケーションの問題などの発達障害の特徴が目立たないことがほとんどです。

思春期にさしかかる頃から、年齢相応の友人が作れない、いじめの被害や対人トラブルなどをきっかけに不安が強くなり、パニック発作、起立性調節障害、頭痛、腹痛などの身体症状がでやすい特徴があり不登校につながることもあります。

 

発達障害の特徴をもった女子は視覚的にとらえやすい外見へのこだわりが強くなることが多く、やせ願望から摂食障害の発症、ピアッシングや美容整形手術など、見た目と身体にとらわれてしまうことも多いようです。あるいは過量服薬やリストカット、衝動行為など、境界性パーソナリティ障害と間違われやすい行動化などの問題を抱えることもあります。

 

成人期の女子では、サブタイプの異なる自閉症スペクトラム(発達障害)の男性をパートナーに選ぶ傾向があるようで、異性関係の問題や夫婦関係の問題(いわゆるカサンドラ症候群)など、対人関係の問題が目立つことが多いのが特徴です。さらに育児ストレスからの産後うつ、あるいは子どもに愛情をそそげないボンディング障害などの問題の他にも、性被害、あるいはDV被害やハラスメント被害のリスクが高いことも知られています。

 

「生きづらさ」を抱える大人のために

メンタルヘルス外来では以下のような人たちについて、発達障害特性のアセスメントと支援を行っています。

 

  • 社交不安障害やパニック障害などの不安障害がある
  • なかなか治らないうつ病やうつ状態がある
  • 会社での対人関係に悩んでいる/会社を休職している

 

こころの健康クリニック芝大門のメンタルヘルス外来や職場復帰支援プログラム(リワーク)で行っているのは、発達障害特性そのものの治療ではなく併存症(二次障害)の治療です。

 

とくに発達障害特性を持った人が働き続ける場合に、どのような合理的配慮と環境調整をお願いすればいいか、精神科産業医の立場で産業メンタルヘルスの観点から考えていきます。

 

それに加えて、対人関係療法による精神疾患の治療と合わせて、症状とその背景にある物事のとらえ方の特徴を知るセルフモニタリングの習得、睡眠覚醒リズムの安定維持や感情調節などセルフコントロールスキルの獲得、対人関係への取り組み方の向上など、自己の特性の理解をすすめていくことが目標です。

 

生まれつきの特性や不安に振り回されずに、その人に合った問題解決に向けたさまざまな工夫を実践し、人生の価値や目的に沿った生き方(ライフゴール)を築いていくことを支援の方針としています。

 

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