◆今週は関東圏では大雪が降り、クリニックから見える新宿御苑の木々の枝葉も雪の重みで少しうなだれているようでした。
しんしんと降り積もる雪、そして辺り一面が真っ白な景色を見て、静寂に包まれているような感覚があり、
雪国育ちの私としては故郷を思い出して懐かしさを感じ、あたたかい気持ちになっていることに気づきました。

◆人間は意識、無意識を問わず絶えずいろいろなことに『気づき』生きています。
ゲシュタルト療法の創始者、フレデリック・S・パールズによると、人間は3つの気づきの領域を持っていると言われています。

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①内部領域の気づき
まずからだの感覚への気づきのことです。『喉が渇いた』『お腹がすいた』『体の痛み』『心臓の鼓動』など、自分の中で起こる身体反応です。

そして心や気持ち、感情、気分と呼ばれる精神領域も内部領域に含まれます。例えば怒りを感じた瞬間に、拳をギュッと握って表情が険しくなり、肩に力が入って上がり呼吸が浅くなるといった身体反応が表れます。心で感じたことは身体に表れるため、身体と精神は同一のものとして捉えます。

②外部領域の気づき
外部領域とは現実の世界、自分を取り巻く環境のことです
そして外部領域の現実世界に気づくために五感 (視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)を活用します。

③中間領域の気づき
思考プロセスや創造の領域のことです。
人間は脳を飛躍的に発達し、考えたり、分析したり、原因を探したり、合理的な判断をすることをしています。
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◆人間はこの3つの領域を自然に切り替えて生命を維持している、とされています。
例えば『水を飲む』という行動は以下のように成り立っています。

1)喉が渇いているのに気づく(内部領域)
2)水を見たり、水の音を聞いて水があるところまで行く。水に触れて飲む(五感を使い外部領域に触れる)
3)どのようにして水を飲もうか考える(中間領域)

健康な状態はこれらの気づきの領域をスムーズに切り替えられるとされています。

◆しかし、現代人では中間領域(思考)が肥大化して、頼りすぎる傾向があります。
例えば自身の体験で得た教訓や、親や家族から言われた言葉を鵜呑みにして、
『男は弱音を吐いたり、感情を出してはいけない』『一生懸命努力しなければならない』
など特定の知識や価値観に囚われてしまい固着すると、心理的な柔軟性が失われます。

また気づきの3領域は1度にひとつの領域しか意識を向けることができません。
中間領域である思考や空想に留まりすぎることで他の2つの領域に意識が向かなくなります。
考えすぎてしまうことで、内部領域である身体感覚や感情を無視して気づきにくくなり無理をしてしまうなど、セルフマネジメントができなくなります。
外部領域の現実世界で起こっている問題に対して、あれやこれやと考えたり空想して、
具体的な解決行動がとれず、問題から回避してしまうことも起こります。
思考の領域に留まりすぎることは問題解決能力を低下させることが考えられます。

◆人間にとって思考はとても大切なものです。
ただ思考だけに頼りすぎることは、自分の感覚感情がわかりにくくなり、考えすぎてしまうことで具体的な行動がとれなくなります。
時にはヨガや自律訓練法、呼吸法などで今ここで感じる心身の感覚の気づきを大事にしたり、
あれこれ不安なことはあるけれども、時には勇気を出して行動してみる、など、
思考から少し離れてバランスをとることも大切ですね。

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三田こころの健康クリニック新宿(精神科・心療内科)
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