こんにちは、新米臨床心理士のM美です🌾

最近、ちょっとだけ雪の匂いがしてくるときがあります。
私にとっては朝ドアを開けて風を浴びる時が一番季節を感じる時かもしれません☺

今週のテーマは先週から続いている【ディスチミア親和型うつ病の治療編】です!

古典的なうつ病とは全く違った症状と経過をたどるディスチミア親和型うつ病の治療はやはり古典的なうつ病とは少し違っています。今日はそこら辺を深めていきたいと思います!

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M美:「今週もI先生にご教授いただきたいと思います!よろしくお願い致します。」
I先生:「よろしくお願いします。」

М美:「先週、ディスチミア親和型うつ病は服薬や休養の効果が薄く、むしろ慢性化の要因となってしまうとお話しくださいましたね。」
I先生:「そうですね。ディスチミア親和型うつ病は置かれた場や環境の変化で急速に改善することがありますので環境調整も視野に入れていく必要がありますね。」

М美:「あの、親和型うつ病は服薬も休養も慢性化を招く危険性をはらんでいるんですよね?となると、何と言いますか…正直医療は一体何ができるのでしょうか???」

I先生:「悩ましいですよね。ディスチミア親和型うつ病の治療について論文を書かれている松尾信一郎先生は『医療化』を急がないことを心がけているとおっしゃっていましたね。」 

М美:「『医療化』を急がない?」

I先生:「そうです。彼らは『うつ病』の診断に協力的です。クリニックに来たとき、患者はまだ患者ではなく『相談者』です。通常であれば、相談者からの『相談』を『主訴』へと変換し、医療の元で治療の必要性がある『患者』としてエビデンスに基づいた治療を行います。患者は処方された薬と共に帰路につきますね。ディスチミア親和型の場合、その通常通りの診察が彼らの回避や逃避を助長する可能性があります。つまり、『相談』は『相談』のまま、『うつ病』という言葉は用いずにせいぜい『適応障害』や『若い人によくある悩み』『生きていく上でのつまづき』といった表現に留めるよう心掛けるのです。ちなみに『やる気が出ない』という訴えがとても多いです。一方でそれまでにやる気があった時期というのもあまりなく発症時期がとても不明瞭なのです。また、『なんとなくうまくいかない』『どうでもいい』といった訴えも多いですね。」

М美:「なるほど…なんとなく漠然とした印象ですね。対応としてはディスチミア親和型うつ病は患者らしさにしがみついてしまう傾向があるのでそれを助長しないように注意しなければならないのですね。医師だけではなく、ご家族や周囲の方々にとっても言えることかもしれませんね!」

I先生:「そうですね。特にご家族にはご本人の症状は内因性のうつ病ではないと考えられること、なのでそれに準ずる治療では改善しないであろうこと、一方で内因性のうつ病のように自殺企図などのリスクはゼロではないことを説明し、治療方針に付いて同意を得ることは重要なことです。ご本人には『あなたは薬だけで治るうつではない』とはっきり伝える方が効果的かもしれませんね。」

 М美:「とにかく『薬が欠かせないうつ病患者という役割』を彼らに持たせてしまわないようにしなくちゃいけない!というのがひしひしと伝わってきますね!」

I先生:「ディスチミア親和性うつ病という概念を提唱した樽味伸先生は、①チューニングとラポールの確立。ただし人生全部を委任されないように気を配る必要がある。②心的弾力性の継続的評価をおこなう(誉めることで弾力性を刺激する)、③『主役は抗うつ薬ではなく、あくまで自分自身である』ことをしつこいぐらいに確認する、④抗うつ薬については『対症的なものに過ぎないけれど“下地”としてはあってもよい』くらいに考え、本人にもそう説明する、とこのようにおっしゃっています。」

М美:「①は相手と感情を同調させ共感し、温かな関係性を作っていくということですね。」
I先生:「一方で、ご本人が『この人なしでは生きられない』というような、全てを委ねてしまうような関係性にはならないように注意する必要があります。」

М美:「②については内因性のうつ病の治療とは大きく異なるポイントですね!!!一般的にも『うつ病に頑張れと言ってはいけない』となんとなくタブーであると伝わっていると思います。ポジティブなフィードバックや適度の励まし、適度に背中を推すような言葉がけが必要になってくるという点はもしかしたらご本人にとっても意外なことかもしれませんね!」
I先生:「そうかも知れませんね。どのような症状をお持ちの方もご自身の症状について、最近ではよく調べて来られる方が多くいます。特に彼らは『うつ症状』の存在確認を終始しがちです。タブーのことはもちろん知っているでしょうから最初はもしかしたら『この医者タブーをおかしたぞ』と疑問に思うかもしれませんね。なのでチューニングやラポールの確立はとても重要なのです。」
М美:「なっなるほどー!!!」

I先生:「ディスチミア親和型の治療は、前進と後退の繰り返しです。『うつ病の患者らしさ』を求め、彼らは自らの状態を生物学的な原因への結びつけようと繰り返し試みます。このような場合は『体力』という言葉を用いると効果的ですね。」

М美:「『体力』???」

I先生:「そうです。彼らの不調は『病い』ではなく『体力の過不足』が引き起こしているのだと置き換えて説明するのです。」
М美:「おお!『体力』という言葉を用いるだけで『自分でもなんとかできるのかもしれない、なんとかせねばならない』という意識が芽生えますね!自分の関与する問題の話なのだと、漠然としふわふわと漂っていた問題が手元に戻ってきたかのような感覚がします。」
I先生:「彼らには継続的に『体力を強化する取り組みが欠かせないこと』を指摘し、具体的にどのような運動をどのような頻度でどれくらいの負荷ですればよいかアドバイスするといいでしょう。同時にどのような身体のサインが出たら疲れていると判断するのかという指導をします。」

М美:「自分のキャパシティをきちんと自覚するということですね!」

I先生:「自分自身を知り、自分の能力に合わせた目標設定を一緒に考えていくというのは、従来は職場や集団における上下左右の関係の中で相談し、解決がなされていたはずの問題なんです。なので、無理に医療的なアドバイスというスタンスはとらなくていい場合が多くあります。」
М美:「…そっか!医療的なアドバイスは逆に医療化を促進してしまいますもんね!」

I先生:「1人の人間として、1人の隣人として、これまでの人生や周囲の経験の中から出てくるあたたかなアドバイスの方が効果的なんですね。一方で、治療者が優しい言葉をあえてかけない強さを持つことも重要です。ディスチミア親和型うつ病の治療は、治療する側も治療を受ける側も自身に取って精神的な負担が少ない薬物療法に逃げ込まないことが治療前進のポイントなんですね。」

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いかがでしょうか?

人生に悩める『相談者』なのか、それとも医療の中で治療が必要な『患者』なのか。
ディスチミア親和型うつ病は、その見極めの必要性を改めて精神医学に問いかけるような概念のように感じました🤔

来週は【未熟型うつ病】について触れていきたいと思います!

それでは、また来週〜♪