摂食障害と発達障害の共通点のまとめ〜その3

水島広子先生のクリニックと同様に三田こころの健康クリニックでも、摂食障害の対人関係療法による治療を開始する前に、病態を評価する一助としてAQ(自閉症スペクトラム指数)を行っています。場合によっては成人のADHDチェックも行います。

このAQを用いて摂食障害を調べた研究があります。

・拒食症(制限型:16名、排出型:20名):36名
・過食症:20名
・特定不能の摂食障害:5名

の摂食障害患者61名(平均23.5歳)をみてみると、
・広汎性発達障害疑い(AQ-J:33点以上):6.6%
・ADHD疑い(ADHD-RS-IV:14点以上):34.4%
・上記以外:59.0%

という結果が出ています。

拒食症か過食症かという摂食障害のタイプ別の検討は行われていませんが、こうやってみると、広汎性発達障害とADHDの併存が摂食障害患者の中にはかなり含まれているということですよね。

 

発達障害などのASDとADHDが高率に合併することは知られていますが、現在のDSM-IV-TRによるカテゴリー診断では、広汎性発達障害(あるいはアスペルガー症候群)が優先して診断名となるのですが、この研究では、広汎性発達障害とADHDの合併も、広汎性発達障害/ADHDではない患者さんも一括りとされている可能性がありますね。

三田こころの健康クリニックで対人関係療法で治療している摂食障害の患者さんは、拒食症よりも過食症(排出型や非排出型)の方が多く、ADHDよりも広汎性発達障害(PDD)が多い傾向があります。
もちろん、PDDとADHDの両方を満たすかたもいらっしゃいます。

さて、前出の研究では、広汎性発達障害(PDD)の特徴として、
・体型不満
・強迫性
・特性不安の高さ

と、ADHDの特徴は
・強迫性
広汎性発達障害(PDD)とADHDに共通する因子として
・不注意>多動・衝動性
が抽出されています。

広汎性発達障害とADHDに共通する因子に関して、患者年齢が高かったため、不注意優位となり、多動・衝動性に関した過食が低かったと考察してあります。

カンのいい人は、おやっ?と思われたかもしれませんね。
なぜなら、摂食障害の典型的な経過として見られることの多い「過食を伴う拒食症」や「拒食症から移行した過食症」は「発達障害とは無関係なの?」という疑問があるかもしれません。

「過食を伴う拒食症」とか「拒食症から移行した過食症」は、もしかすると、三田こころの健康クリニックで診ているように、広汎性発達障害の特徴(拒食の要素)とADHDの特徴(過食の要素)がさまざまな程度で混在していて、かつ、どちらかというとADHDの要素(過食の要素)が多い、ということなのかもしれませんよね。

対人関係療法は、摂食障害の中でもとくに過食症や過食嘔吐に対してエビデンスがあることが示されていますので、対人関係療法は成人のADHDにも有効であることも推測できますよね。
英語のサイトで見つけました。オッケー

次回はいよいよ、発達障害がベースにある摂食障害の治療について書いてみますね。

院長