身体と心の関係を改善し摂食障害から回復する

「(身体の)シグナルを見つけるには、何週間も集中的に注意を払う必要があるということを覚えておくことが重要です」とジョンストン先生はおっしゃいます。

 

電車の中で、歩いているときに、カフェで、お風呂の中で、自分を観察する時間はたくさんあります。

外界を締め出すためにイヤホンで音楽を聞いたり、気持ちを封じ込めるために本の活字に目を落とすなど、今この瞬間との接触を回避して思考の世界に退避するのをちょっとやめて、意識を自分の内側に向けてみるのです。

テレビのレポーターが実況中継するように、「何を観察しているのだろう」「何を考えているのだろう」「どんな気持ちになっているんだろう」と、今この瞬間で起きていること、独り言のように自分に報告してみてください。

自分がいつも決まった行動パターンを繰り返していることにその瞬間に気づくことは、「行動の仕方を変えていく」土台になるのです。

 

素敵な物語』には「喉の渇きのワーク」が説明されていますよね。

そのワークを使って、身体のシグナルに馴染むようになってくると、「食べ出したら止められない」ことがだんだん減ってきます。

 

いろいろな食べ物がどのように体に影響するのかを学ぶのも、身体的な空腹感に基づいて食べる練習をするのに役立ちます。

ほとんどの人は、仕事や学校のスケジュールがあって、お腹が空いたらいつでも食べるわけにはいかないでしょう。 ですから、自分の体がどのように食べ物を消化するのかということを少し知っておく必要があります。
そうすれば、食べ物と食べることを中心に生活を回すのではなく、忙しいライフスタイルに会わせて食事を摂ることができます。

ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』星和書店

 

良くなったある患者さんは、「決まった時間に食べるように練習していると、ときどき、どのくらい食べて良いのかわからなくなります。とくに夜遅くなったときはそうなります。そのときには、先生に教わったような内容の食べ物を少しだけ、ゆっくり食べています。もっと食べたいという気持ちもありますが、お腹はもういいかな、と言っている感じがわかるようになりました」とおっしゃっていました。

 

体のサインを信頼できるようになり、身体的に空腹な時に食べて満腹になった時にやめれば、食べたいものを自由に食べても太らないことに気がつきます。
食事が必要かどうかの唯一の基準は身体的な空腹感なのです。
太る食べ物とダイエット用の食べ物、良い食べ物と悪い食べ物などという余計なことを考える必要はなくなります。

ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』星和書店

 

また別の患者さんが良くなる時に「仕事から帰るとき、いつの間にか食べ物のことを考えていることに気づきました。そのときに、何か嫌なことがあったんだね、ごめんね、と自分にやさしく言い聞かせてみました。それだけで過食衝動はかなりおさまったんです!ビックリしました!」とおっしゃっていました。

 

意識して食べ、身体的な空腹感を敵視するのではなくて尊重する(「またお腹が空いているなんてあり得ない!」ではなく、「なんで今お腹が空いているのかな?」)ことを学ぶのは、克服のプロセスではとても大切なことです。

人生のほとんどを乱れた食行動に苦しみながら過ごしてきた多くの女性たちにとって、食べたいものを何でもたべるということほど怖いものはありません。
体だけを信じると自分を壊してしまう、思い切って体の食欲を信じてしまうと制御不能になってしまう、と本当に思っているのです。
しかし彼女たちは、食べすぎをもたらすのは体の食欲ではなく、人生の他の局面で何かが欠けているからなのだということを理解しなければなりません。

心の飢えは食べ物以外の何かで満たし、食べるのは体が空腹になったときだけにするという術を身に付けられれば、食欲はもうそんなに危険なものではなくなります。

ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』星和書店

 

また別の良くなった患者さんは、「マーケットでいろんな食べ物を見ていて、何を食べたいかなぁ?と自分と対話しているときに、フッと料理をすることが好きだったことを思い出したんです!いろんな食材が形を変えてお皿に盛りつけられていくことを想像していると、また絵を描きたい!という気持ちが心の中から湧き上がってきたんです!(中略)私、自分が感じていることを表現するのをしたかったんだと思います!」と話されました。

 

このように、食べ物が私たちの心の一番奥深くに潜んでいる欲望や心配事のメタファーになっていると理解できるようになると、克服の道のりを大きく前進することができます。

自分が欲しくてたまらない食べ物とそれに伴うイメージに注意を払うと、無意識においやっていた感情や欲望を意識下に持ってくることができます。
そうすると、食べたいものを拒否し続けていたら理解できなかったであろう本当の問題について、より深く理解することができるのです。

身体的な空腹と象徴的な飢えとを区別することで、自分が欲しているのは食べ物ではなく心が満たされることだとわかるようになります。心の飢えが食べ物で満たされると思っていたのは錯覚だったということに気づくのです。

ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』星和書店

 

8つの秘訣』にも「必要なものは食べ物ではなくて、何か別なものかもしれません」「なぜ食べているのか、食べ物を利用してどんな気持ちを抑圧しようとしているのか、たいていの場合、わかっていないのです」とありますよね。

それでも、根気よく続けてみてください。

 

理解しにくい部分があっても、何度でも読み返し、話し合いを繰り返しながら取り組んでいくと、拒食、過食や嘔吐、あるいは食べ物をどのように利用して根底の問題とそれに伴う気持ちに対処していたのか、などが完全に理解できるようになるのです。

癒しに向かう段階では、摂食障害行動を利用せずに気持ちに対処できる方法を身につけ、自然で健康的な体重を受け容れることができ、食べ物と体重の問題を自分の中で本来占めるべき位置に押し戻して客観的にながめられるようになります。
この過程では、必ず、食べ物と体重の問題に日常生活の中で直面することになります。

コスティン他『摂食障害から回復するための8つの秘訣』星和書店

 

自分自身(心と身体、考えと気持ち)との関係がわかるようになってくると、「過食をしたい」と感じた瞬間が、摂食障害から抜け出すチャンスが巡ってきたという感覚がわかるようになってくるんですよ。

 

院長