摂食障害の部分と健康な部分の対話

摂食障害症状はストレスを表すものといわれますが
ストレスは外的出来事とそれをどうとらえたか?の総和です。

摂食障害の人も健康な人もライフイベントの数には違いがないものの、
摂食障害の人は日常的な出来事をストレスだと感じやすいこともわかっています。
つまり、摂食障害の人はとらえ方・理解の仕方が
自己批判的・ネガティブに偏りやすいということですよね。

ところがもう一つ、摂食障害の人たちは
「何もすることがない時に過食や過食嘔吐のスイッチが入りやすい」
ということは、皆さん体験済みですよね。

乱れた食行動で苦しむ女性の心は、やたらと発達した男性サイドが常に女性サイドをコントロールしようとしている状態にあります。
しかも男性サイドは女性サイドに対して無慈悲で批判的で冷淡です。
このため、彼女たちの人生は次から次へとやってくる用事や雑用など、延々と続くやらなければならないことのリストで埋め尽くされています。
そして空想を楽しんだり、リラックスしたりできる静かな時間は「時間の無駄」として追いやられるか、向上心や目標達成の邪魔になるとして退けられます。
ですから、夜が苦手という患者さんがたくさんいるのも当然です。
夜はあちこち走りまわったり、あれこれとこなす忙しさがなく、周りもシーンとしています。
そして、その空虚感を食べることで埋めたいという恐ろしい衝動に襲われるのです。
ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』星和書店

このプロセスは三田こころの健康クリニックでの治療のときに
「自分へのダメ出し」から「〜ねばならない」という完璧主義が生まれ
良い自分/ダメな自分という「白黒思考」が生まれる
と説明していますよね。

自分の体からのニーズを信じて食べたり運動したりするのではなく、緻密に作りあげたダイエットプランやガチガチの運動プランに従う。
(中略)
乱れた食行動がここまで多発しているのは、明らかに社会、そして私たち自身の中で男性らしさと女性らしさのバランスが崩れているからです。
ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』星和書店

「何もすることがない」つまり「何もすることがない自分はダメだ」とか
「何もすることがない自分は怠けている」などの「自己批判」や「白黒思考」、
「〜ねばならない」という「べき思考」や「完璧主義」は
自分の中の男性サイドが女性らしさをコントロールし、批判している状態ですよね。

ですから、

乱れた食行動を克服する第一歩としてやらなければならないのが、自分自身を見つめ直し、正しく理解することです。
ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』星和書店

自分自身を見つめ直す、自分の中心への旅で
自分自身への古い見方(アニムスの意見)を脱ぎ捨てていくプロセスが
8つの秘訣』の秘訣2にある
「摂食障害の部分(男性サイド)」と「健康な部分(女性らしさ)」の対話ですね。

このとき多くの患者さんは、「摂食障害の部分」を強引に説得しようと
躍起になってしまいますが、そうなると過食もひどくなります。

大切なことは、「中立的な観察する自分(魂)」の立場から
摂食障害の部分と健康な部分の両方に耳を傾け
それぞれの立場を尊重しながら対話をしていくことです。

そのとき役に立つのが、
「好奇心・開かれた態度・向き合うこと・優しさ」というこころの姿勢をもって
より生きやすい自分自身を生みだしていくことです。

自分の本当の考え、感情、そして欲望を探す道中、自分の行く先を導いたり自分を助けたりするためには、内側からの声に耳を傾けなければなりませんでした。
そして、一筋縄でいかないことを受け入れ、理性を解放して自分の直観と感情の持つ力を大事にすることで自分自身を見つけることができました。
(中略)
自分の中心、つまり女性としての自分の本質を見つけることが旅の終わりではありません。
新しいビジョンと新しいあり方でもって、迷宮を出なければならなかったのです。
ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』星和書店

このプロセスは『8つの秘訣』では「秘訣8」
「人生の意味と目的を見つける」に相当しますよね。

院長