摂食障害の治療でジャッジメントを手放すこと

三田こころの健康クリニックで、過食症やむちゃ食い障害の対人関係療法を導入する時に治療の土台作りでつかうプリントの中に

私たちの気分を悪くするのは、他人や出来事そのものではない。それに対する自分のとらえ方である。

とか

出来事をどう体験するかは選択できるので、その責任は私たちのそれぞれにある。

というアティテューディナル・ヒーリングの言葉を入れていますよね。

ここでいう「責任」ということは、自分のした事の結果について責めを負うことの意味ではなく、

英語のレスポンシビリティ(レスポンス+アビリティ)
対応能力をもつ者が負うべき義務

のことです。

 

対人関係療法による治療で取り組んでいく

○ 自分の気持ちをよく振り返り、言葉にしてみる
○ 自分の状況(とくに対人関係に関するもの)に変化を起こすよう試みる

のうち「変化を起こすよう試みる」という行動の過程と結果を受けいれる義務のことですよね。

過程と結果を受けいれるときに必要な事は、ジャッジメントを手放す、ということです。
ジャッジメントとは、良い/悪い、快/不快の対立二項による二元論(デュアリズム)のことです。

自分の気持ち(感情)も同じで、「感情を指標に現実を変える」ためには、感情をありのままに感じることができるようになる練習がぜひとも必要になります。

大切なことは、気持ちをありのままに受け容れて評価しないことです。
気持ちは自然に沸き上がってくるもので、怒りは怒り、悲しみは悲しみ以外の何ものでもありません。
気持ちによい悪いはありませんし、正しいか誤っているということもありません。
感じているものを感じているというだけです。
たとえ何かの気持ちを感じてしまうことは間違っていると感じても、その気持ちはやはりそこにあるのです。
誰かにののしられて心の中で怒りが生じているにもかかわらず、「怒りは悪い」から感じてはいけないと自分に言い聞かせると、健全ではない方法で気持ちに対処することになってしまいます。
摂食障害から回復するための8つの秘訣』星和書店

 

気持ちをジャッジしてしまうと、脳内劇場のスイッチが入るだけでなく、脳内劇場に反応した「二次感情」が出来事に対する反応である「一次感情」を覆い隠します。
それだけでなく、過食で気持ちを麻痺させようとすると、ますます気持ちを感じられなくなってしまいます。(『過食(むちゃ食い)や過食嘔吐の治療2』参照)

また、気持ちをジャッジメントしてしまうと、変化を起こす行動につながらないだけでなく、行動を回避することで失敗恐怖を学習し、ますます行動を回避してしまい、出来事に対して「一次不適応感情」で反応しやすくなります。

ここで必要なのが「自分の選択に自覚と責任を持つ」ということで、ある行動を選択をしたという自覚と、その途中経過と結果を引き受けるという、主体性を持った生き方を身につけていくことなのです。

このサポートのために、三田こころの健康クリニックでは、対人関係療法による治療とあわせてマインドフルネスを指導しているのです。

できるかぎりありのままを表現してみることが最終目標となります。
湧いてくる気持ちそのものに、あなたに責任はありませんが、それに対して何をするかに対しては、あなたに責任があるのです。
摂食障害から回復するための8つの秘訣』星和書店

対人関係療法による過食症の治療の課題は、『8つの秘訣』と共通していることがわかりますよね。

このような取り組みはとくに、「新奇性追求」が低く「損害回避」が高い回避傾向のある人や、「自己志向(自尊心)」が低く「協調性」「自己超越」が平均的な自分の行動基軸に一貫性がない人にとっては、もっとも重要な課題になるということですよね。

院長