摂食障害から回復するための8つの秘訣

今回が『8つの秘訣』の解説の最終回になります。

8つの秘訣』の「訳者あとがき」に

この1冊目(ジェニー・シェファー『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』星和書店)では、摂食障害からは回復出来る、そのためには回復の過程でどのようなことが起こりうるのか、みなさんにお伝えしたく、日本にも紹介させていただきました。
「摂食障害は一生つきあう病気です」という日本の医療界の常識をどうにかしたいとの思いからでした。
そして今回のこの本では、それでは具体的に、日本の今の環境の中で回復へと向かうためには、ご本人なりに何に取り組めばいいのかとお示ししたいと思い、翻訳、出版させていただきました。
摂食障害から回復するための8つの秘訣』星和書店

とあるように、対人関係療法を補うホームワークとして『8つの秘訣』を使っていただくと取り組みやすいでしょう。

 

実際、『8つの秘訣』に取り組んでもらうことで、対人関係療法による過食症の治療の終結までに良くなってしまう患者さんが増えているのです。

逆に『8つの秘訣』を参考に自分なりに頑張っていらっしゃる方は、ぜひ対人関係療法にも取り組んでいただくと効果が実感されやすいと思います。

 

その『8つの秘訣』とは

秘訣1 回復への動機、忍耐、そして希望
秘訣2 自分の中の摂食障害の部分を癒すのは健康な部分
秘訣3 食べ物の問題ではありません
秘訣4 気持ちを感じて、自分の考えに抵抗してみよう
秘訣5 やはり食べ物の問題なのです
秘訣6 自分の行動を変えるということ
秘訣7 摂食障害にではなく人々に助けを求めよう
秘訣8 人生の意味と目的を見つける

と、自分で取り組む課題が満載ですよね。
それについて、対人関係療法の治療者の視点から解説をしてきました。

 

さて、この本で紹介されているあるクライエントさんのメッセージで、「摂食障害の部分に手紙を書く」ことと「自分と向き合うこと」について書いてありました。

あるとき、自分の中の摂食障害の部分に手紙を書いて、最後の段落を次のようにまとめました。
(中略)
「最終的に目指しているのは、あなたを追い出してしまうことではなかったの。
魂を気遣うことができるようになったら、あなたのエネルギーが弱まって、形が変わってきたの。あなたは今も変わり続けているわ。
あなたは、今は私の警報システムになっていて、何かが私の中で起きているときには知らせてくれる。
私たちは、同じ人間、私の中にいるの。
私が生きているのは、あなたが生きているから。
だから、この手紙は、ある意味ではさよならを言っているけれど、別な意味では、おかえりのメッセージとも言えるわ。
あなたと私が本当に統合されて、豊かさと意味に満ちた人生を誠実に生きられる世界へ、ようこそ、おかえりなさい」

それから、物理的な身体を感じながら瞑想するようになりました。
これは、はじめはとても悲しく辛かった経験です。
身体に注目しながら自分の視点を身体のある部分からある部分へと移し、それぞれの部分について心に浮かんだ考えや思い込みにきづくようにしました。
否定的で歪んだ思考が特に強くなるとき、たとえば食事の直後などにこの練習を行いました。
しかし同時に、自分の本質または魂の部分から涌いてくる肯定的な考えや信念も忘れないようにして、心の中に蓄えていきました。

それを続けていたら、否定的な思考が涌いてきたときに健康な魂の部分からの言葉で反論して反撃することがどんどん上手になりました。
私の中にあるふたつの部分と長い対話をして、あまりにも難しくなったときや、ただ助けてもらいたくなっただけのときも、周りの人を頼って助けを求めるようになりました。

やっと気がつくことができたのは、私の身体、この地球用の衣装とは、この世での人生を生きるための、また人生から喜びを引き出すための授かりものだったということです。
だから、無条件に好きになって受け容れようと思います。
身体に栄養を与えて、育み、癒し、大切にし続けていると、私の人生に摂食障害が入りこむ余地はなくなりました。
摂食障害から回復するための8つの秘訣』星和書店

「自分が管理を任された身体」という考え方』で引用した『ダイエット依存症』と同じように、このクライエントさんの取り組みは「セルフ・コンパッション」と呼ばれるもので、まさに「自分自身との折り合い」をつけることですよね。

 

このように対人関係への取り組みと、自分との折り合いは自己効力感と自己肯定感に直結していて、それぞれコミュニケーションと心のおしゃべり(内言語)に関連し、どちらから先に取り組んだとしても、この2つは摂食障害からの回復にはどちらも必要不可欠なのです。

過食に苦しむ多くの方が、自分のなかで何が起こっているのかわからない、と感じています。
そのために、重要な対人関係の問題に目を向けることが難しくなるのです。
食べ物には、気持ちを鎮め、落ち着ける効果があります。
自分の気持ちにもっと気づけるようになれば、気持ちを落ち着けるために食べ物に頼らずにすむようになるでしょう。
今まで、過食は、あなたが自分を大切にするためにとってきた方法だったのです。
残念ながら、この方法にはあまり効果はありませんでしたし、それどころか、逆効果でした。
あなたは自分をコントロールできないと感じ、やる気を失ってきたのですから。
食べたいという願望のきっかけになるのが何なのかを知ることができれば、こういった問題にもっと直接取り組むことができるようになるでしょう。
ウィルフリィ『グループ対人関係療法』創元社

 

8つの秘訣』と対人関係療法によって、一人でも多くの人が、摂食障害からの回復の道を歩まれることを願っています。

院長