摂食障害からの回復に必要な周囲の人のサポート

過食症やむちゃ食い障害の対人関係療法による治療では

○ 自分の気持ちをよく振り返り、言葉にしてみる
○ 自分のまわりの状況(特に対人関係に関するもの)に変化を起こすよう試みる

ということに取り組んでいきます。

過食症では学習性無力(不和)や評価への過敏性などを問題領域として
対人関係に変化を起こすことに取り組んでいきますよね。

摂食障害から回復するための「自分」という土台』で書いたように
摂食障害の人は「心的等価モード」のため内省が困難で、
感情を指標に現実を変えていくという対人関係療法が
なかなか進まないこともよくあるのです。

そのため、三田こころの健康クリニックでは
マインドフルネスを指導して内省機能を高め
心の枠組みを拡げる取り組みを行ったり
摂食障害から回復するための8つの秘訣』を参照にしてもらい
内省(内面を見つめる)ことに取り組んでもらっていますよね。

この本では、内面を見つめながらあなたの健康な部分を強くしていこうとするときに役に立つ方法をたくさん紹介してきました。
その中からいくつかを、もう一度簡単に振り返ってみましょう。
◇ 自己対話
◇ ノートに書き出す練習
◇ マインドフルネス
◇ イメージトレーニング
摂食障害から回復するための8つの秘訣』星和書店

これらの内省(内面を見つめる)を使うと同時に
周囲の人に助けを求めるということも必要です。

ところが、摂食障害の場合にはこれとは異なり、回復へ向かう第一歩として体重が戻る、過食をやめる、下剤をやめる、嘔吐したい衝動に逆らうなどを実践し始めると、気持ちが楽になる前に、多くの場合、いったんはとても辛くなる時期があるのです。
回復に向かおうとするときに辛い気持ちが沸き上がってくると、頑張り続けることが難しく、努力を完全にやめてしまう人たちも実際にたくさんいます。
この苦しいプロセスに最後まで取り組もうとするときには、周囲の人たちに助けてもらうことが最善の方法でしょう。
摂食障害から回復するための8つの秘訣』星和書店

「周囲の人たちに助けてもらう」ときに
周囲の人たち、主に家族にお願いしていることは
拒食症・過食症を対人関係療法で治す』にも書いてあるように
「とにかく話を聞く」「どんな気持ちも受け止める」ことなのです。

これは『摂食障害から回復するための「自分」という土台』で書いたように
内省(内面を見つめる)ができるようになる土台だけでなく
それだけでなく自己肯定感の土台になるからなのです。

自分の気持ちを正直に話すと
「たいしたことない」とジャッジメントされたり
「よかれと思って」アドバイスしてきたり
さまざまな反応を相手に呼び起こすものです。

ですから重要な他者との間のコミュニケーション分析で
どの程度の洞察が可能なのかの位置づけも必要ですし、
患者さん側の「愛着のパラドックス(丸投げ)」にも
注意が必要になります。

しかしそれでも周囲の人たち、とくに重要な他者との関係は
摂食障害からの回復には必要不可欠なサポート源なのです。

周りの人の反応は予想できません。
がっかりするときもあります。批判されることもあるかもしれません、
ですので、誰かに助けを求めることには、確かに危険が伴います。
それでも、ほとんどの場合、人々との関係は私の気持ちを豊かにして、回復に向かって進むことを助けてくれました。
誰かを受け入れてみると、今まではあまりにひどいと思いこんでいたいろいろなことが、それほどひどいわけでもないと気がつくのです。
(中略)
だから、食べ物を支配し、操作し、あれこれしていると、安心出来るような錯覚が得られます。しかし、それは錯覚にすぎないのです。
心を豊かにしてくれるという意味で、試しに少しでも周りの人に助けを求めてみると、食べ物なんて人間関係にはとうていかなわないことにすぐ気がつくでしょう。
摂食障害から回復するための8つの秘訣』星和書店

これこそ対人関係療法が目指していく
「対人関係から力をもらう」ということですよね。
そしてその力は自己肯定感を築く上で大きな支えになりますよね。

1人でも多くの摂食障害の方が『8つの秘訣』を参照にしながら
対人関係療法による治療を受けて回復されることを願っています。

院長