夜間食行動異常症候群

夕食の後に過剰に食物を消費したりする反復性の夜間の食行動エピソードも「夜間食行動異常症候群」に含まれますが、これは「過食性障害/むちゃ食い障害」でもみられます。

もう一つ、睡眠から覚醒して食べるなど、いわゆる「寝ぼけ過食」という病態も「夜間食行動異常症候群」に含まれますが、このタイプの「睡眠関連食行動異常」は「夜間食行動異常症候群」とは区別する必要があります。(『睡眠関連摂食障害と夜間摂食症候群の治療』参照)

 

「寝ぼけ過食」はノンレム睡眠からの覚醒障害で、正式には「睡眠時遊行症」と呼ばれます。
これは、睡眠中に起き上がり歩き回るエピソードの反復で、睡眠時遊行の間、その人はうつろな表情で視点を動かさず、他の人が話しかけようとしてもあまり反応せず、覚醒させるのがきわめて困難である、とされます。

「睡眠時遊行症」型の「睡眠関連食行動異常」では、まったく意識がなく、翌日に食べたことが初めてわかるタイプや、食べるのにふさわしくない物を食べていたり、完全に意識があるが食べることをコントロールできないものまで、さまざまな程度の「健忘」を伴う摂食行動のエピソードを繰り返し経験します。

この「健忘」は「解離性健忘」でもみられますから、「睡眠時遊行症」は「夜間解離性とん走」との区別は困難です。
さらに、あまり知られていないことですが、『解離と過食』で触れた「解離性障害」と同じように小児期の反復する身体的虐待や性的虐待があることもあり、生育歴や発達歴を詳細にみていかないと、ただ睡眠導入薬を処方されるという対症療法のみで根本的な解決にはつながりませんよね。

 

成人では、「睡眠時遊行症」型の「睡眠関連食行動異常」は、抑うつエピソードおよび強迫性障害と関連があることもあり、『非定型の摂食障害〜食物回避性情緒障害』で触れた「回避・制限性食物摂取障害」と非常に似ている場合もあり、覚醒時の飢餓(過激なダイエットなど)と睡眠相の覚醒期の過食が特徴なのです。

 

また「睡眠時遊行症」型の「睡眠関連食行動異常」の中には、『睡眠関連摂食障害と夜間摂食症候群の治療』で触れたように、概日リズムの遅れと不眠や抑うつと関連があることがわかっており、器質的な疾患がなく、睡眠ポリグラフ検査で睡眠相との関連が明確になれば、過食につながった出来事や気持ちとの関連に焦点をあてていく摂食障害(過食症)の対人関係療法ではなく、概日リズムという体内時計による睡眠覚醒リズムを整えていく社会リズム療法が適応になる場合もあります。

 

このように病態を詳しく見ていくことで、対人関係療法や社会リズム療法の適応になることもありますので、三田こころの健康クリニックに相談してみてくださいね。

院長