「傷つき体験(プチ・トラウマ)」と糖質制限

この季節になると、ダイエットに取り組む人が増えます。
とくにTVコマーシャルで「結果にコミットする」を見ると、自分も…と、挑戦したくなってしまいますよね。
しかしダイエットということについて水島先生は警鐘を鳴らしておられます。

また、ダイエットを始めるとそれにとりつかれてしまう可能性が高いですから、どんなに魅力的なダイエット法を雑誌で見ても、いたずらにダイエットを始めない方が安全です。「君子危うきに近寄らず」ということです。
本来正しいダイエットというのは、太りすぎの人の体重を減らし、やせすぎの人の体重を増やすためのものです。
水島広子『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』紀伊國屋書店

 

「ダイエットにとりつかれてしまう」可能性のある人とは、『ダイエット依存症』にもあるように、外見への「こだわり」と「とらわれ」のある人ですが、水島先生は、「健康なこだわり」と「苦しいとらわれ」を分け、ダイエットという「自分との折り合い」のコツは「コントロール感覚」というキーワードを呈示しておられます。

 

摂食障害になりやすい人の場合は、「やせれば解決するような気がする」とか「過食したくなる」というふうに出る可能性が高いということです。
こういう気持ちに気づいたら、自分の生活の中のストレスを見直した方がよいのです。
水島広子『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』紀伊國屋書店

 

外見への「とらわれ」があると、強迫的にダイエットにのめり込み、拒食から過食嘔吐に移行するなど食行動異常や摂食障害を発症しやすいので、自分の性格を知り、ダイエットとのつきあい方を考えるという注意が必要です。

 

しかし最近増えている摂食障害は、拒食の時期を経ることなく、過食が起きるタイプで、「傷つき体験(プチ・トラウマ)」のある人が多いようです。

「傷つき体験(プチ・トラウマ)」がある場合、身体への不信を含む「自分自身への信頼感」が揺らぎ、さらに周囲の状況への緊張が続くことで徐々にセロトニンが減少していきます。

身体は炭水化物を補うことによって一時的にセロトニンを増やし、安心感やリラックスを得ようとします。
ですから、ダイエットをしたくなる背景が、「炭水化物の摂取を減らせば体重も減り自信がつくかもしれない」と感じるのは無理もないことだとしても、「ダイエットをしたとしても本来の問題が解決されたわけではない」ということに気づくことが重要なのです。

 

このような炭水化物摂取に対して、今流行りの糖質制限を行うと炭水化物渇望が強くなるだけでなく、セロトニンが減ってしまうために抑うつ的になり、やる気がなくなり、糖質制限を続けられない自分を責めてしまい、ますます炭水化物が欲しくなるという悪循環が起きてしまいます。
(『摂食障害の個人的要因』参照)

 

ダイエットをしたくなったときは、「やせればすべての問題が解決すると考えていないかどうか」「自分は何を問題と考えているのか」についてよく考えてみて

あの人が批判的だったからこうなった、と追求するよりも、自分がそれほど厳しい状況におかれてきたということを認め、その結果として「見た目」を通して世の中を見るようになったのは仕方のないことだ、と理解することが大事なのです。
その理由の詳細はわからなくても大丈夫。ただ、何らかの、相応の理由があって、今現在、自分はこんなに「見た目」が気になるのだ、ということを認めてあげればいいのです。
このステップを踏まないと、「見た目を気にする心」を手放すことはできず、単に「見た目を気にする自分」という「見た目」にとらわれていくだけです。その悪循環から抜け出すこともできません。
現状を認めることができると、「見た目」にとらわれた心を手放す“土台”ができます。
水島広子・著『見た目が気になる症候群』主婦と生活社

という、良い/悪いの評価(ジャッジメント)を差しはさまずに、「現状を認める」というプロセスが必要不可欠なのですよね。

院長