『反応性愛着障害と脱抑制型対人交流障害』の最新情報

DSM-5では、『反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害』と『脱抑制型対人交流障害/反応性愛着障害・脱抑制型』はともに「心的外傷およびストレス因関連症候群」に分類されました。

「反応性アタッチメント障害」と「脱抑制型対人交流障害」は、「社会的ネグレクト(乳幼児期の適切な養育の欠如)」が診断の必須要件になっています。
(2歳以降にネグレクトを受けた子どもは診断されない)

しかしながら、院長の個人的ブログ『如実知自心』では、相変わらず「反応性愛着障害」の検索数が多いので、DSM-5でアタッチメント障害がどう扱われているか、わかりやすく書いてみますね。

 

「反応性アタッチメント障害」は、乳児(9ヶ月)または小児期早期(6〜7歳まで)の診断で、他の臨床場面ではまれにしか診断されないとされ、また重度のネグレクトを受けた子どものうち、10%未満にしか生じません。

一方、「脱抑制型対人交流障害」は、重度のネグレクトを受け養護施設で育った子どもでさえ20%にしか生じないなどそのくらい、まれな状態なのです。

 

基本的な特徴は、「子どもと養育者の間のアタッチメントの欠如」、もしくは「いちじるしく未発達なアタッチメント」と特徴づけられ、つまり、子ども側の要因が強調された印象です。

「反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害」は、発達の遅れ、特に認知および言語の遅れや常同症なども併発するため、症状からだけでは、「自閉症スペクトラム症(発達障害)」や「知的能力障害(知的発達症)」と区別がつかないといわれています。

また「脱抑制型対人交流障害」は、「注意欠如・多動症(ADHD)」との鑑別を要し、「脱抑制型対人交流障害」は多動を示さないとされますが、不注意と衝動はありますので、思春期以降は表面的な情動表出や馴れ馴れしさと見境のない行動などで仲間同士での諍いも多いとされ、「不注意優勢型のADHD」とは鑑別がつかないのではないかと考えられます。

このように『反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害』と『脱抑制型対人交流障害/反応性愛着障害・脱抑制型』は、それぞれ「自閉症スペクトラム症(発達障害)」や「注意欠如・多動症(ADHD)」との鑑別が必要なのです。

 

近年の行動遺伝学の見解では、子どものうちは親の育て方の影響(家庭環境要因)を大きく受けるのですが、思春期を過ぎてからは、生まれつきの気質(もともとの状態:遺伝的要因)と「親の育て方をどう位置づけたか」という「個別の環境要因」により行動パターンが決定されるということがわかっています。

このような行動遺伝学の見地と有病率から考えると「(反応性)愛着障害」ではないかと感じられている方の多くは、「自閉症スペクトラム症(発達障害)」や「注意欠如・多動症(ADHD)」の可能性が高い、ということになりますよね。

院長