最近の摂食障害

最近では、摂食障害の対人関係療法による治療を希望され、三田こころの健康クリニックを受診される人たちの傾向が、ずいぶん変わってきたという印象を持っています。

ダイエットをきっかけにBMI: 18を割り込むような「拒食症/神経性やせ症」を発症し、飢餓状態からの「大食」に引き続き、「過食」と自己誘発嘔吐をともなう「過食・嘔吐を伴う拒食症/神経性過食症」から体重が徐々に戻り「嘔吐を伴う過食症/神経性過食症」という典型的な摂食障害の病像推移を示す人が少なくなりました。

「夜間摂食症候群/夜食症候群」や「排出障害」など、日中の食事量が少なく、夜に「自覚的な過食」を伴うタイプが増えた印象があります。

 

「夜間摂食症候群/夜食症候群」や「排出障害」はDSM-5では「他の特定される食行動障害または摂食障害」として扱われています。

「夜間摂食症候群/夜食症候群」では、「どか食い(大食)や早食い」あるいは「だらだら食い」ですが、「他の特定される食行動障害または摂食障害」と診断される多くの患者さんは、食べる量はさほど多くないものの主観的に「過食をしている」と感じられるようです。

生活習慣としての食習慣の異常〜摂食障害未満』で触れたように、生活習慣の問題や他の人と食事を共にする機会が減ったことが「他の特定される食行動障害または摂食障害」が増えた一因かもしれませんね。

 

またチューイング(噛み吐き)を含む「排出障害」の患者さんは、「食べた後に吐けば太らないと思った」とおっしゃいますから、摂食障害をよくご存じない精神科の先生方によって「排出型の過食症」「過食嘔吐を伴う拒食症」と診断されてしまいますよね。

「排出障害」では、食べすぎ(大食)や体調不良などで嘔吐したことをきっかけに、過食ではない通常の食事後に嘔吐を繰り返すようになり、次第に嘔吐のための食事量の増加を伴います。

 

患者さんがおっしゃる<過食>をくわしくお聞きすると、ある状態で客観的に大量の食物を摂取し、その間、摂食を自制(コントロール)できないという感じを伴うという「過食(binge eating)」の定義は満たしませんし、女性特有の<やせたい気持ち>はあるものの、自己評価が体重や体形の影響を強く受ける精神病理としての「やせ願望」はハッキリしませんし、自己誘発嘔吐も摂食障害でみられる「代償性排出」ではなく「非代償性排出」であることが摂食障害との大きな違いになります。

自己誘発嘔吐は、ダイエットにならないばかりかむしろ飢餓過食の誘因になりやすく、強迫性・衝動性のある人ではストップすることも難しくなりますし、さらに、逆流性食道炎やマロリーワイス症候群など身体合併症を伴いやすいので、絶対にやめてくださいね。

「排出障害」の患者さんでは、さまざまな強迫症状や常同行為、こだわり(対称性や適切な言葉)などを伴うことが多く、アスペルガー症候群や広汎性発達障害など、診断閾値に達しない自閉症スペクトラム症(発達凸凹)を有する人が多い印象を持っています。

 

原則的には、強迫症状があると対人関係療法の適応になりませんし、アスペルガー症候群や広汎性発達障害と診断できる程度の自閉症スペクトラム症の人には、対人関係療法は不向きと言われています。

しかしそれでも、強迫症状が不安の程度と相関する場合や、発達障害の人でも、社会適応がそれなりに保たれている場合、こだわりが強くない場合、出来事と過食症状に関連がみられる場合は、三田こころの健康クリニックでは積極的に対人関係療法を導入しているんですよ。

拒食症・過食症を対人関係療法で治す』を読んでみたけど、自分の場合はちょっと違うかもしれないと感じられる方は、三田こころの健康クリニックに相談して下さいね。

院長