三田こころの健康クリニックでは、対人関係療法による摂食障害の治療を専門にしています。
問い合わせの中で多いのが「拒食症」についてなのですが、じつは拒食症の治療に対する対人関係療法のエビデンスはなく、唯一、「家族に基づく治療(FBT)」のみで思春期の拒食症に対する効果が認められています。
また身体管理が必要であることなどから、診断基準を満たす「拒食症」は、外来での通院精神療法の適応にならないことがほとんどなのです。

 

入院治療を含む身体治療を検討する目安としては、以下が指標になります。

①極端なるいそう(やせのこと):以下のいずれか
 ・BMIが14kg/m3以下
 ・標準体重の65%以下(例えば160cmで36kg以下)
 ・身長にかかわらず体重が30kg以下
②最近の低血糖発作
③歩行障害
④重度の低血圧・徐脈
収縮期血圧が80mmHg以下、脈拍が50/分以下

標準体重の55〜65%では、思考力の低下や消化機能障害のため、摂食のみによる体重増加は困難なことが多く、日常生活の支障、低血糖による意識障害、感染症の危険が増えるため、標準体重の60%以下では入院による治療が必要になります。

 

標準体重の65〜70%の患者さんでは、重篤な合併症の併発率は低下しますが、体力や理解力、集中力の低下があり、精神療法の実施は困難です。

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BMI: 15未満では精神療法が無効なことから、拒食症の場合は身体的な検査や身体的治療が最優先で、精神療法は体重がある程度回復してから(退院目標がBMI: 16〜17が多い)になります。

 

三田こころの健康クリニックでは日本摂食障害学会のガイドラインを参照し、標準体重の75%(BMI:16以上)を外来での通院精神療法に取り組める目安とし、「身体管理が終わった方」という条件にしています。
そのような拒食症の治療についての総説的なまとめを三田こころの健康クリニックのブログ『聴心記』で5回にわたって書いてますので、拒食症の治療を考えていらっしゃる方は、お読みになってみて下さいね。

 

対人関係療法による摂食障害の治療〜神経性食欲不振症(拒食症)1
体重維持や食事パターンなどの臨床的な身体管理、心理教育、ケアやサポートなどと支持的精神療法を組み合わせた「非特異的な支持的臨床管理」が、「対人関係療法」や「認知行動療法」よりも優れていたという論文を紹介しています。

 

摂食障害の治療〜神経性食欲不振症(拒食症)2
拒食症の場合は身体的な検査や身体的治療が最優先で、精神療法は体重がある程度回復してからという拒食症の治療の大原則について、身体的危機管理も含めて書いています。

 

摂食障害の治療〜神経性食欲不振症(拒食症)3
変化への不安に伴う回避傾向が拒食症の病識の乏しさとみなされてしまいますから、親御さんなど身近な人がどう接したらいいのか?について触れました。

 

摂食障害の治療〜神経性食欲不振症(拒食症)4
拒食症の場合は身体的な検査や身体的治療が最優先で、精神療法は体重がある程度回復してからであるにしても、多くの場合は、治療経過中も身体管理が必要であることについて書いてます。

 

摂食障害の治療〜神経性食欲不振症(拒食症)5
拒食症の治療で目指していくことについて、過食症と対比しながらまとめてみました。

 

なお、過食嘔吐を伴う拒食症の方は多くの場合、過食症と診断されていらっしゃいますので、拒食症と過食症の違いについては、『「過食嘔吐」をともなう摂食障害』『「摂食障害(拒食症・過食症)」について』なども参照してくださいね。